本研究は,高齢者の多くが直面する重大な意思決定場面(治療選択等)においてみられる高齢者の意思決定バイアスの特徴を明らかにし,高齢者に適した意思決定の支援方法を明確にすることを目的とした。 一連の実験の結果,高齢期の意思決定バイアスの特徴として,ネガティブな情報よりもポジティブな情報を重視すること,将来の利益よりも,現在の利益を重視すること,これら無意識的・自動的に生じる認知バイアスを意図的に調整することが難しいことが示されました。一方で,高齢者はポジティブな情報を重視し,若年者のようにネガティブな情報の影響を受けることが少ないため,損失回避による非合理な選択は減少することも示された。
|