研究実績の概要 |
(研究1)-(3)-② 平成27年度からの縦断調査を継続し,アイデンティティ発達の様相をとらえた。【方法】対象:関西圏にある高校に在籍する2つの学年群(高1~高2:A群,高2~高3:B群)を対象とし,4回にわたる調査を行った。A群における回答者は各回1,697~1977人,B群における回答者は各回1,351~1,613人,延べ人数は13,532名,縦断的検討においては,4回すべての調査に参加した1,368名(A群809名,B群559名)を対象とした。DIDS(多次元アイデンティティ発達尺度)および進路決定の程度を用いて,それらの得点変化および,得点間の相互関係性について検討した。【結果】集団レベルおよび個人レベルにてアイデンティティ発達の様相を検討した。集団レベルの分析では,時間の経過と共に探求/コミットメントいずれも得点が上昇すること,アイデンティティ地位もより発達した地位が増加していくことが示された。個人レベルの分析からも,特に1年を経た際には,アイデンティティ地位が前進的に変化している者も3~4割見受けられた。ただし,半数程度の者は同一地位に留まっていた。また,アイデンティティの探求とコミットメントとの関係については,コミットメントの度合いが探求を促すという関係性が見られた。これは理論とは異なる結果であった。進路とコミットメントとの関係においても,コミットメントが進路決定を促すことが示された。 (研究2)-(2)-①主体的人格特性尺度および主体的な人生形成の様相を問うアイデンティティ・ホライゾン尺度を用いて,日本の青年における主体性の様相について検討した。【方法】アメリカの大学生490名,日本の大学生505名を対象とした調査から,尺度の日本語版を作成し、前年度までにその妥当性・信頼性を確認した。さらに,フィンランドの大学生615名との比較についても議論を進めた。
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