研究課題
主に以下の2点について調査研究し、その成果を公表した。①昨年度までにインタビュー調査などを行った全国各地の優れたインクルーシブ保育実践事例について、その実践経過とインクルージョンが実現されるうえでの実践の重要な転回点などについて理論的に分析したうえで、それを仮説的にモデル化した。それらの成果を、「多様性がいきるインクルーシブ保育」(ミネルヴァ書房)として刊行した。②優れたインクルーシブ保育の実践として焦点化して研究対象としてきたA幼稚園の実践について、園内のカンファレンスに継続的に参加し、カンファレンスの内容、構造などを分析し、子ども同士、保育者と子ども間、保育者同士において、いかに対話が継続発展して、インクルーシブな関係を築くことになるかについて考察した。その成果を、ヨーロッパ乳幼児教育学会(EECERA)において、2本のポスター発表として公表し、研究交流した。主要な考察点は、生活プログラムより、共同作業プログラムにおいて、子どもたちの会話を促し、対話的関係を生み出し、その関係を拡大していくよう構造化され、活動構造は、単に会話を促すことだけではなく、それぞれの考えを可視化しイメージを共有すること、他者の考えや表現に注目し、理解しようとする姿勢を育み、さらに、目の前の活動において自分や他者が共にどうありたいかを考えられるようになっていることを明らかにした。また。対話場面に対する説明や解釈、疑問、提案、気づきは、循環しながら進行するのではなく、対話場面では誰かの発話に対して、別の誰かがいずれかの反応を示し、それにまた別の誰かが反応する、といった具合に進む。そうした議論の結果、その対話場面における子どもの関係性や発達理解が進むことが明らかになった。これらの成果は、インクルーシブ保育における参加状態をアセスメントする作業の基礎的な知見となる点で重要な意義がある。
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教育
巻: 873 ページ: 13-20