研究課題/領域番号 |
15K04085
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
高垣 マユミ 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (50350567)
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研究分担者 |
田爪 宏二 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20310865)
清水 誠 埼玉大学, 教育学部, 埼玉大学 (30292634)
田中 俊也 関西大学, 文学部, 教授 (40171780)
寺本 貴啓 國學院大學, 公私立大学の部局等, 准教授 (50585114)
白水 始 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (60333168)
中西 良文 三重大学, 教育学部, 准教授 (70351228)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学習環境の開発 / 認知的文脈 / 社会的文脈 / イノベーティブ・インテリジェンス / 協調学習 / 動機づけ |
研究実績の概要 |
第1に、本研究では、教育心理学研究の最前線の課題である、「認知論的アプローチと社会文化論的アプローチの統合」という理論的想定を実証的に検討した。具体的には、動機づけ研究の観点からは、オンゴーイングで学習が進む「認知的/社会的な動機づけ」の動態を掬い取る手法の検討を行った。協調学習研究の観点からは、協調学習における個人内・個人間の互恵的かつ螺旋的なプロセスを微視的に分析する「知識の社会ネットワークの変化分析」の手法の検討を行った。評価研究の観点からは、「オーセンティック評価」の手法の検討を行った。 第2に、現在の世界的動向は、PISAでは学術的な知識の体系化が重視されていないため知識基盤社会に求められる学問知識水準の教育要請には応えられないという批判から、「コンピテンス(PISA型学力)」から、学術の体系を加えた、「イノベーティブ・インテリジェンス(革新的な科学的知性力)」へと向かっている。現在、わが国では、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)を初めとする高等学校以上のイノベーティブ人材の育成は展開されているが、次世代を担う小・中学校の理科教育への応用は十分には進んでいない。 以上の点を踏まえ、本研究では、教育心理学研究を基盤として、「認知的/社会的文脈を統合した学習環境の理論的枠組み」を開発し、変化する時代の要請を多面的に組み込んだ「次世代を担う小・中学生のイノベーティブ・インテリジェンスの育成」に実証的に取り組むことを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、本研究では、教授法(高垣)、動機づけ(中西)、理科教育(清水・寺本)、協調学習(白水)、評価(田中)、心理統計(田爪)という、多角的な研究組織を構成し、研究を円滑に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に開発した各手法に対して、具体的な指標を検討する。①認知的/社会的文脈を統合した学習環境の開発・分析指標:学習指導要領のコア概念「エネルギー・粒子・生命・地球」の特徴を踏まえた、イノベーティブな学習環境を開発し、教授効果を認知的かつ社会的側面から測定し分析するための指標を検討する。 ②協調学習における動機づけを促進する要因の開発・分析指標:「科学的協調学習場面」における個人間のピア・ラーニングやピア・モデリングの効果、個人内のメタ認知や自己効力感に働きかける要因等の認知的/社会的動機づけを検討し、「知識の蓄積(Learning)」から「知識の体系化・活用(Study)」に価値をもたらすエッセンスを導出し、動機づけの変化を測定する質問紙項目の作成、及び動機づけの動態の様相を捉える分析指標を検討する。さらに、「オーセンティック評価」の手法を用いてパフォーマンス課題とルーブリックの開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者及び研究分担者において、次年度から次期学習指導要領改訂に向けた作業が本格化するため、それに連動して予算を来年度にも使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
カリキュラムや学習全般に関する書籍他の購入 40万円
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