研究実績の概要 |
従来,幼児がふり遊びの中で一般的な知識を得ることはないと考えられてきた.なぜなら,ふり遊びの中で示された新しい情報を現実世界でも使えるものとみなせば,幼児が概念的に混乱すると考えられてきたからだ.しかし最近の研究(Sutherland & Freidman , 2012, 2013; Hopkins et al., 2015)は,時には,幼児が大人とのふり遊びの中で一般的知識を獲得しうることを示している.
そこで本研究では,ふり遊びの中での幼児の新奇な事物に関する学習が,いかに柔軟であるかを調べた.そのために,日常的なふり遊びでよくある,1つの物が多様な物(食物,道具)に見立てられるという状況を設定した.そして,見立てられている新奇な事物のカテゴリ(食物,道具)によって,幼児が代用物(積木)の色,形,機能などの沢山の情報の中から,特定の情報のみを抽出し学習するかどうかを調べた. 本研究において,幼児は積木がふり遊びの中で大人が新奇な「道具」に見立てるとき,幼児は積木の「形」を本物の事物に般化した.一方で,大人が積木を新奇な「食物」に見立てるときには,幼児は積木の「形」と「色」を本物の事物に般化した.このように,本研究の結果は,幼児がふり遊びの中で新奇な事物を弁別するための重要な知覚的な特徴を効率的に学習できることを示した.
上記の結果を論文としてまとめて投稿したが,不採択となった.現在は論文を修正中である.
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