研究課題/領域番号 |
15K04091
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
中野 有美 椙山女学園大学, 人間関係学部, 准教授 (60423860)
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研究分担者 |
大野 裕 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, その他 (70138098)
中川 敦夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30338149)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知行動療法 / レジリエンス / 学校 / 抑うつ感情 / 怒り感情 |
研究実績の概要 |
① 生徒と教員両者のレジリエンス(困難に対処して乗り越える力)を育てることを目的とした授業プログラムを実施できるよう教員を教育し、② 教員が担当学級で授業を実施するシステムを構築することを本研究の目的としている。協力を申し出ていたA中学校が予定通り調査に協力している。2015年度は、夏季休暇期間を利用して、A校を中心とした近隣の中学校教諭を対象に、CBTを活用する技術と授業プログラムの内容を紹介する講習会を開催した。参加者の中で、特に関心を持った教員らを中心に、CBTの理念や基本、授業内容を教員らが咀嚼し、生徒に対して授業を実施してみる方向が打ち立てられた。一方で、A中学校の生徒らの情緒(抑うつ感、怒り感情)やレジリエンスの程度について調査して先行研究のデータと比較し、ほぼ、平均レベルの集団であることを確認した。今後は、関心を持った教員を中心に、彼らが生活の中でCBTを使って困難を乗り越える経験を持てるように、彼らのCBT活用度が増加するような講習会を開催し、その成果を調査することを主眼に置いている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
A中学校の教員を中心に信頼関係は構築された。しかし、研究実施者の方は、教員らがそれぞれの生活でCBTの技術を用いてストレスに対処する経験を持つことがまず大切だと考えていることに対し、教員らは、他の教科を授業で教えるのと同じ感覚で、生徒に心に関する教育ができるようになることを第一目標として考えており、生徒に対して授業をすることを優先する傾向がある。従って、場合によっては、教員が生徒に対して授業をまず実施し、その経験から生じた疑問を解決するというところから入って、徐々にCBTによるストレス対処の良さに気づいてもらうというように方向転換する必要があるかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
自らのストレスをCBTを用いて解決する力を各教員らが持つよう講習会を開く ⇒教員が生徒にCBTを用いたこころに関する授業を実施する、という順番を、場合によっては変更する必要性も視野に入れながら、A中学校やその近隣中学校の教員との信頼関係を深め、教員らの意見を聞きながら、教員と生徒のストレス対処力が高まりレジリエンスが向上するような取り組みと調査を続けていく。2016年度の夏季休暇期間を利用して、昨年度より詳細な講習会を開催する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度のA中学校での講習会回数が予定よりも少なかったため、使用金額が少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度は、すでに講習会開催を会場、日程まで予定している。また、昨年度は実施できなかった調査を今年度に実施するため質問紙を購入する予定である。
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