研究課題
本年度の研究成果として,達成目標が前頭葉賦活に及ぼす影響を,fNIRSを用いて評価する実験を行った。実験の参加者は,大学生111名(男性47名,女性64名)であり,統制群,マスタリー接近目標群,パフォーマンス接近目標群の3群にランダムに振り分けられた。前頭葉の賦活を測定するために,ワーキングメモリを測定する代表的な課題であるN-Back課題および川上ら(2015),石田ら(2016)にもとづきCANTAB(Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery)のプランニング課題であるOne Touch Stocking s of Cambridge (OTS)を用いた。fNIRSは日立製作所のウェアラブル光トポグラフィWOT-100を用いた。実験の結果,達成目標の実験的操作は成功していたが,達成目標が課題成績に及ぼす影響については,統制群と比較してマスタリー接近群において選択回数が増加するという仮説と異なるパフォーマンス低下効果がみとめられ,川上ら(2015)および石田ら(2016)とも異なる結果となった。さらにfNIRSを用いて測定された脳血流量の指標に対して,前頭葉の左右ともに,目標の有意な効果は認められず,脳血流量とN-backおよびOTSの課題成績指標との関連も強いとはいえなかった。今後は,課題中の脳賦活データに対して,難易度の違う試行を別にして分析するなど,さらに詳細な分析を加える予定である。また,fNIRSで測定される脳血流量変化とより関連の強いワーキングメモリや目標志向行動に関連する課題を見つける必要がある。
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