研究実績の概要 |
本研究では、大学入試センター試験の解像度分析を主眼において分析を行った。分析に用いた統計モデルは、潜在ランク理論(latent rank theory, LRT)である。LRTは、学力を段階評価するテスト理論であり、LRTで分析することにより、当該テストが何段階で評価することが良いのかに関する情報量基準で決めることができる。情報量基準は、未来に同様なデータを観測したときに、当てはまりの良いモデル(ここでは段階数)は何かという基準で評価する。 ただし、統計的に段階数を決めることには限界がある。標本サイズが大きいほど、最適な段階数が対数関数的に増加していくことが分かった。センター試験には、英語のように50万人規模のテストもあれば、英語以外の外国語のように1,000人に満たないテストもある。標本サイズが10であれば、11以上の段階数を設定できないように、常識的にも標本サイズは段階数に影響を及ぼす。そこで、本研究では、「10,000人以上の科目にしぼり、10,000人を何段階に分けることができるのか」という視点で分析を進めた。 また、最適な段階数については、統計的な結果が絶対的ではなく、教科教育の専門家の評価も加わるべきである。しかし、本研究の成果は、統計的な指標は1つの資料となりうる。LRT分析により、科目特性があることが分かった(ここでの公表は差し控える)。結果の内容については、問題作成部会にフィードバックしたり、学会・研究会で(非公式に)触れるなど、大きな関心を持っていただいた。
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