テストが適切であるためには,テストを構成する問題項目自体が適切である必要がある。本研究は,広範な問題形式や解答形式を前提として,高次の能力の測定も対象とした問題項目作成技法を提案することを目的としている。 問題作成技法に関して,これまで行ってきた文献調査及び問題作成の専門家に対するインタビュー調査の結果をまとめ,日本テスト学会誌に発表した。問題作成の専門家に対するインタビューは,日本における多肢選択式問題の作成についての知見を収集するために行ったものである。また,ITC(国際テスト委員会)が公開しているガイドラインのうち,品質管理,テストの利用,CBTに関するガイドラインを日本語への翻訳を研究協力者とともに進め,日本テスト学会のホームページにおいて公開した。 多肢選択式問題については,大学入試センター試験(世界史)に出題された問題の中から,歴史的思考力等を用いると評価された問題を選び出した。それらの問題の解答過程(問題をどのように解答したのか)に関するアンケート調査を文系及び理系の大学1年生を対象に実施した。また,別の大学生にそれらの問題の解答過程の記述を依頼し,解答過程のデータの収集を行った。論述式問題については,課題が複数ある小論文試験の採点を複数の採点者により実施した。採点者別の得点に着目した分析を行い,得点分布の形状の違いには,採点者の違いが大きく影響していることを示した。
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