本研究では、統合失調症患者を対象として、①労働状態の予測因子を解明し、それらを用いて②労働状態の予測を実践、さらに、③労働状態の予測に有効な高次認知機能の指標を検討することを目的とした。①・②について、ロジスティック回帰分析の結果、「認知機能の状態」、「精神症状」及び「社会機能」が有効な予測因子であることが判った。予測の精度は、一部の患者においてはそれほど高くなく、社会的あるいは個人的な要因の影響を受けると推察された。③について、特異値分解法による分析の結果、意味記憶機能の構造化の評価に有用な指標(コサイン値)が得られ、労働状態の予測に組み込める可能性が示唆された。
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