研究課題/領域番号 |
15K04110
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
青木 佐奈枝 筑波大学, 人間系, 准教授 (80350354)
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研究分担者 |
北島 正人 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30407910)
井上 忠典 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授(移行) (80272144)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自殺 / 自傷 / 予防 / 遭遇体験 / 青年 |
研究実績の概要 |
我国において、青年期の死因の第一位は自殺と言われている。自殺や自傷行為は当事者とその家族のみならず周囲の同年代の青年達にも多大な影響を与える。特にインターネット普及後の現代は、「自殺したい」「リストカットした」など自傷行為や自殺念慮を直接あるいはSNSなどを通して間接的に他者から告白される体験が青年期を中心に増加しているものと考えられる。しかしながら、実際はいかほど起きているのか、また、告白を受けた者や告白した者にどのような影響を及ぼしているのかに関する調査研究は少ない。本研究では、自殺念慮及び自傷行為に関する告白体験・被告白体験の実態調査を行うとともに、その際、青年はどう感じ、どう考え、どう行動しているのか、また、どのような精神的・物理的困難を抱えるのか、どのような支援・情報を必要としているのかなどについて調査検討を行う。また、被相談者側が行った対応と相談者側が望んだ対応との比較を試みる。その上で当事者の視点に立った自殺や自傷行為に対する予防対策を考えることを本研究の目的とする。 当該年度は、昨年度、自由記述を元に収集したデータを元に、主に「自殺念慮」について知人から告げられた際の苦悩や困難感がいかなるものか、また、告白された際に行った対応について尺度化し、大学生を中心に調査を行った。また、「自傷行為」について知人から告げられた際の、苦悩や困難感がいかなるものか、その時行った対応についてのデータ収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、予定していた自殺や自傷遭遇体験にかかるWEB調査について、調査会社との間で、倫理的配慮に関する点で現在交渉中であり、実施が遅れている。WEB調査では事後のフォローアップができないため、質問項目についてある程度の修正や変更の必要があり、修正や変更をどのようにするかについて研究者間、および調査会社と相談・交渉が必要で、それに時間を要している。それ以外についてはおおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに作成した調査項目・質問紙についてWEB調査や直接調査を通して、更にデータ収集を行う予定である。その上で、自殺予防プログラムの作成に必要な調査を重ねる予定である。また、当該年度の成果について、国内外の学会で発表を行う。平成29年度は日本心理臨床学会、およびヨーロッパ心理学会での成果発表を予定している。また、自殺や自傷予防に関する研究会を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
自殺念慮や自傷行為への遭遇体験に関するWEB調査が未実施であるため、使用額が予定より少なくなっている。
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次年度使用額の使用計画 |
WEB調査に伴う人件費、消耗品および備品、学会での発表にかかる出張費(国際学会を含む)、発表成果の出版費用(翻訳・校正料含む)として使用予定である。
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