我国において、青年期の死因の第一位は自殺と言われている。自殺や自傷行為は当事者とその家族のみならず周囲の同年代の青年達にも多大な影響を与える。 特にインターネット普及後の現代は、「自殺したい」「リストカットした」など自傷行為や自殺念慮を直接あるいはSNSなどを通して間接的に他者から告白される体験が青年期を中心に増加しているものと考えられる。しかしながら、実際はいかほど起きているのか、また、告白を受けた者や告白した者にどのような影響を及ぼしているのかに関する調査研究は少ない。 本研究では、自殺念慮及び自傷行為に関する告白体験・被告白体験の実態調査を行うとともに、その際、青年はどう感じ、どう考え、どう行動しているのか、 また、どのような精神的・物理的困難を抱えるのか、どのような支援・情報を必要としているのかなどについて調査検討を行った。また、被相談者側が行った対応と相談者側が望んだ対応との比較を試みる。その上で当事者の視点に立った自殺や自傷行為に対する予防対策を考えることを本研究の目的とした。 当該年度は、既に作成した尺度ー①自傷行為や自殺念慮について知人から告げられた際の苦悩や困難感尺度、②自傷行為や自殺念慮について知人から告げられた際の対応尺度を用いて、調査範囲をさらに拡大し、大学生を中心に調査を行った。大学生の自傷行為の実態や、それを知人から告白されたときに困難や苦悩、そして対応について範囲を拡大して調査を行い、青年期に多くみられる自傷行為や自殺念慮への対応について考察を行った。
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