研究課題/領域番号 |
15K04115
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
宮田 はる子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (20749478)
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研究分担者 |
平野 好幸 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任准教授 (50386843)
浅野 憲一 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (60583432)
大島 郁葉 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (40625472)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 神経心理検査 / 臨床心理学 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
研究対象者のリクルートを行い、対象基準に満たす協力者を然るべきアセスメントを経て決定。<OCD患者群>35名:千葉大学医学部附属病院の外来患者のうち、精神科医による構造化面接においてOCDと診断された患者のうち、本研究に文書で同意した者。18歳から50歳までの男女とし、WAIS-IIIにてIQ80以上、中等度以上の重症度の強迫症状を有する者、その他研究基準を満たす者。≪対象除外基準≫脳器質疾患、頭部外傷、神経疾患、統合失調症圏、物質依存、重篤な身体疾患の合併。≪ASDの評価≫ 自閉性スペクトラム指数(AQ-J : autism spectrum quotient-Japanese version)及び詳しい発達歴の聴取に上記の尺度を参考にして複数の精神科医がDSM-IVにより診断。ASDを併存するOCD群とASDを併存しないOCD群の2群とした。 <健常群>29名:千葉大学大学院医学研究院附属こどものこころの発達センターHP上でリクルート。18歳~50歳までの男女。WAIS-R簡易版でIQが80以上。精神疾患簡易構造化面接法により精神疾患を患っていないことが確認でき、社会適応が良いと判断される者。MOCI(Mausley Obsessive-Compulsive Inventory: モーズレイ強迫観念・強迫行為調査票及びOCI-Rによりカットオフ値以下と確認されている者。 <神経心理検査>CANTAB, CogState, WCST, Stroop Test, Trail Making Test, IGT, Eyes Test <データ解析、考察及び発表>① WAIS-IIIのスコアの二群比較【OCD(ASD+)vs OCD(ASD-)】→ 法政大学大学院紀要に掲載。 ② 全神経心理検査の三群比較【OCD(ASD+),OCD(ASD-),HC】を検討。→進捗を国際学会にて発表。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究は、当初の予定通りのスケジュールにおいて進められている。進捗状況概容は以下の通りである: ① リクルート、研究対象基準を満たす協力者の決定及び同意を得られた協力者の最終確定。(OCD患者群35名、健常者群29名)。② 同意を得られた研究協力者への神経心理検査の実施。③ データ収集。④ データ解析準備及び実施。⑤ 研究内容の検討、まとめ。⑥ 進捗状況の報告(国際学会にて経過発表を実施)。⑦ 研究全体のまとめ、論文化準備、論文化。(部分的に論文化・発表を実施。)
国内外の強迫障害の専門家・研究者、及び自閉症スペクトラム及び発達障害の分野の専門家・研究者、神経心理学の専門家・研究者との情報交換・意見交換の機会も得られ、各分野での現状や専門的視点からの意見やアドバイスも参考にさせていただいている。 現在、研究分担者、連携研究者と共に、研究の総括へむけてのまとめ方の検討、論文化の準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、当研究の最終年度であり、当初の予定通り、研究分担者とともに連携研究者の協力・助言を得ながら内容の確認・まとめ、論文化を進めていく予定である。国内外の強迫障害・自閉症スペクトラム及び発達障害の分野・神経心理学の分野における専門家・研究者の意見、論文の投稿過程においての査読者等からの視点や指摘をふまえ、研究の総括にむけて取り組んでいく予定である。当研究は、強迫性障害の患者の中に自閉症スペクトラム障害を併存する者が含まれ、適切な治療や支援が受けられていない患者の存在を危惧しており、神経心理学視点からそのアセスメントのヒントとなる傾向を探索することをテーマとしている。当研究の総括として、今後当研究からの結果・考察を活かして、強迫性障害、自閉症スペクトラム障害及び発達障害の分野、神経心理検査の活用、という三分野それぞれの関連研究への参考となりうるポイントをまとめて、総括にしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度(28年度)に予定していた学会参加の見送り、当初検討していた物品購入、謝礼などが発生しなかったことなどから、次年度への繰り越し金額が発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
論文作成、発表に携わる諸費用、学会参加による発表及び情報収集等で使用予定。
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