研究課題/領域番号 |
15K04117
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
鈴木 朋子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (60422581)
|
研究分担者 |
田村 直良 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (20179906)
小泉 晋一 共栄大学, 教育学部, 教授 (80296376)
名取 洋典 いわき明星大学, 教養学部, 准教授 (80708991)
|
研究期間 (年度) |
2016-01-27 – 2020-03-31
|
キーワード | 心理学史 / 発達検査 / オーラルヒストリー / 検査開発者 / 知能検査 / 心理学者 / アーカイブ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、発達検査開発者を対象にしたオーラルヒストリーを収集し、開発者の視点による日本の発達検査史を整理することと、日本における歴史的な発達検査用具や手引き、検査記録用紙等を画像データ化し、発達検査デジタルアーカイブを構築することである。本年度では、主に以下の3点を行った。 ①発達検査の用具・手引き等の資料収集:入手可能な知能検査資料および原本を収集した。具体的には、K式発達検査、日本版K-ABC、日本版K-ABCIIに関する資料や検査用具を収集し、整理を行った。 ②発達検査開発者への面接調査によるオーラルヒストリーの収集:発達検査開発者に半構造化面接にて面接調査を行い、オーラルヒストリーを収集した。本年度に実施した面接調査は、K式発達検査開発者である中瀨惇氏、日本版K-ABCII開発者の服部環氏、日本版K-ABC、日本版K-ABCII開発者の石隈利紀氏の3名である。面接調査協力者からは、心理学を学んだ理由、学生時代に学んだ学問・講義の内容、師との出会い、発達検査開発への経緯、検査開発に関する具体的な工夫点や苦労話、発達・知能観などを聞いた。録音した音声は、面接協力者の了承を得てテキストに書き起こし、面接者の校正を経てデジタルアーカイブの資料として用いる準備を進めている。 ③発達検査一覧作成:歴史的な検査を含め、日本の発達検査の一覧を作成した。オーラルヒストリーの基礎資料として今後も使用予定である。 ④研究の公表:本年度の成果として、日本における知能(発達)検査の発展の歴史をInternational Congress of Psychology(2016/07:横浜)で発表した。改訂版鈴木ビネー検査の出版社員のオーラルヒストリーを紀要に発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発達検査オーラルヒストリーの収集は、日本で独自に開発され使用されているK式発達検査、近年使用頻度が増加しているK-ABC、K-ABCIIが終了した。現在、作成した発達検査一覧に基づき、他の発達検査について、オーラルヒストリーの協力要請を行っている。そのため、オーラルヒストリー収集に関しては、期間内に終了が見込める。デジタルアーカイブの準備、Web公開準備についてはやや遅れがみられる。
|
今後の研究の推進方策 |
①発達検査の用具・手引き等の資料収集と特徴分析:学問領域を越えた検査資料を収集する。 ②発達検査開発者への面接調査によるオーラルヒストリーの収集と分析:引き続き面接調査を行い、オーラルヒストリーを収集する。 ③発達検査デジタルアーカイブ構築:Web公開準備として、収集した資料を整理し、デジタルアーカイブを構築する。 ④成果の公表:今までの研究成果の公表として、国際学会および国内学会・研究会等で発表を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究では、オーラルヒストリーの協力者の要望にあわせてインタビューを行っているため、年度をまたいで協力依頼をかけているものがある。オーラルヒストリーでは、インタビュー謝金(インタビュイーのインタビュー協力謝金)や、テープ起こし業者の作業費用に多くの資金を必要とする。そのため、物品購入を抑え、次年度以降のオーラルヒストリーの謝金等に、残金を繰り越す必要があると考えた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度以降のオーラルヒストリーの謝金(インタビュイーのインタビュー協力謝金)、テープ起こし業者の作業費用に用いる。
|