研究課題/領域番号 |
15K04118
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
竹澤 みどり 富山大学, 保健管理センター, 講師 (90400655)
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研究分担者 |
宮前 淳子 香川大学, 教育学部, 准教授 (10403768)
寺島 瞳 和洋女子大学, 人文社会科学系, 准教授 (30455414)
松井 めぐみ 岡山大学, 学生支援センター, 准教授 (60400652)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 親密な関係における暴力 / IPV / 発生・維持過程 |
研究実績の概要 |
本研究は,親密な関係における暴力(Intimate Partner Violence: IPV)の発生や維持・深刻化過程を明らかにすることが目的である。今年度は,様々な深刻度の行為を包括的に測定しうる尺度を作成することが目的であった。先行研究を基に身体的暴力,心理的暴力,性的暴力被害経験を測定するための予備尺度項目をそれぞれ作成し,臨床心理学を専門とする分担者が妥当性の確認を行い,最終的な予備尺度をそれぞれ作成した。作成した予備尺度を用いて,尺度の因子的妥当性や信頼性の確認,およびデモグラフィック要因との関連を検討するためにWEB調査を実施した。現在交際相手のいる15~29歳の未婚の男女690名(男性312名・女性378名)から回答を得た。探索的因子分析の結果,身体的暴力被害経験では「重篤な身体的暴力」(13項目),「軽~中程度の身体的暴力」(13項目)の2因子,心理的暴力被害経験では「人権侵害・監視行為」(11項目),「見下し・怒りをぶつける行為」(15項目),「束縛」(6項目),「自傷行為による脅迫」(4項目)の4因子,性的暴力被害経験では,「性的辱め行為」(13項目),「性的無理強い行為」(4項目)の2因子がそれぞれ抽出された。信頼性係数αは.816-.954であり,高い信頼性が確認された。性差について検討した結果,「性的無理強い行為」においてのみ女性のほうが男性よりも被害経験が多く,それ以外の行為については被害経験に性差は見られなかった。各行為間の相関係数を算出したところ,すべての行為間で.34-.91と中程度から強い相関がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々な深刻度のIPVを包括的に測定するための尺度を作成し,その妥当性と信頼性を検討するという今年度の目的を達成することができたことから,当初の計画通り順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は当初の計画通りに進んでいるため、今後も研究計画に沿って進めていく。今後は,今年度作成した各IPV尺度を用いて,交際期間の経過に伴ってIPV行為がどのように変化していくのか,それに関連する要因を横断的に検討していく。並行して,作成した尺度の精緻化も引き続き行っていく。 28年度の調査対象者に対して29年度に縦断調査の実施を予定しており,29年度の時点で統計分析が可能な程度の人数を確保するために,28年度は必要十分な調査対象者を確保する。 また、28度以降にそれまでに得られた知見を学会、論文等で順次発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費に配分してた分を分担者の大学の研究費で賄えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度のWEB調査費が予想よりも高額になりそうであるため,残額を次年度のWEB調査費に加えて使用していく予定である。
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