本研究課題の目的は日本人のwell-beingの現状を把握することである.Well-beingの測定には,その国際比較を可能にするためにも,国際的に利用されているwell-being尺度の日本語版を開発する必要がある.初年度(平成27年度)および2年目(平成28年度)は,well-being尺度の日本語版を開発を目標として,研究協力者の協力を得ながら,well-being尺度の英語原版の日本訳における信頼性と妥当性に検証を可能にするデータを得るための調査を中心に実施した.また,本研究目的の達成に望まれるwell-being関連尺度の開発にも取り組んだ.3年目(平成29年度)は作成されたwell-being尺度日本語版を中心とした質問紙調査によって,大学生をはじめ,就労者等を対象として,本格的なwell-beingの現状把握を実施した.中間的な報告として,本年度の時点での成果を学会発表した. 初年度(平成27年度)の進捗が大幅に遅れたことから,結果的に1年延長(平成30年度)し,4年間の実施となった.最終年度となった4年目では,well-beingに関する質問紙調査を継続し,大学生,就労者によるデータを増やすことで,well-beingの現状把握を進展させることができた. 具体的な結果として,就労者について,well-beingの構成要素において,女性は肯定的感情とフラリッシングが男性より有意に高かったが,否定的感情は女性の方が高かった.well-beingは30歳台で高く,40歳台と50歳台で概ね低く,U字型の傾向が認められた,一方,高齢ほど低い傾向は認められず60歳台では良好な結果であった.しかし,20歳台で否定的感情の高さが特徴的であった.
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