研究課題
加害感とは「他者に不快感を与えている」と事実に反して妄想的に悩む症状である。その妄想性によって患者の社会的機能が非常に阻害されるため、治療法につなげるための基礎研究が必要となる。また診断に際しても難しさをはらむ症状であるとも言える。これまで、妄想的な色彩を帯びる原因となる認知的傾向(メタ認知傾向)の働きについて明らかしてきたが、そうした妄想性を持ちやすい特性については検討されていない。症例研究等からは、統合失調症的な病前の特性がかかわっている可能性が予想される。本研究課題は妄想性を認知の確信度の高さととらえ、メタ認知やもともとの特性がどのように加害感の確信度を高めているのか、その仕組みを探るために、3年間の研究を企画している。平成28年度は、International Congress of Psychology (国際心理学会)が横浜で開催された年であった。これまでの共同研究者であり、本研究の研究協力者であるカナダ人研究者とともにシンポジウムを開催した。当該研究領域に関する更なる知見と研究案への示唆を得たことが平成28年度の大きなとりくみとして数えられる。また当該領域の研究を推進する上でベースとするべく、対人恐怖症についてのレビュー論文を刊行した。また、本研究課題の前提である臨床心理学の最近の動向に関してのレビュー論文がオンラインで公開された。このように平成28年度は、これまでの取り組みを吟味しまとめることに専念した。
3: やや遅れている
平成28年度は日本での国際学会の開催年にあたり多忙であった。本年度で得た議論を踏まえて、平成29年度にデータ収集をおこなう。
研究計画を速やかに実行にうつしたい。
平成28年度は、国際学会での議論とこれまでのまとめを行ったため。
平成29年度に調査計画を実施する。
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生産と技術
巻: 68 ページ: 67-69