研究課題/領域番号 |
15K04123
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平井 啓 大阪大学, 経営企画オフィス, 准教授 (70294014)
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研究分担者 |
佐々木 淳 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (00506305)
谷向 仁 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60432481)
山村 麻予 大阪大学, 未来戦略機構, 特任助教(常勤) (70745190)
中村 菜々子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (80350437)
足立 浩祥 大阪大学, 保健センター, 准教授 (00303785)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メンタルヘルス / 受療行動 / リテラシー / 心の健康教育 |
研究実績の概要 |
昨年度より開発を進めてきた受診行動に関するアンケートを、大学構内にある専門機関(保健センター精神科。以下、保健センター)に受診した学生を対象に実施した。これは、来年度以降に実施する介入前にベースラインを測定することを、目的としている。一年間で87名からの回答を得た。ほとんどがメンタルヘルスの専門機関を初めて受診するものであり、その半数近く(47%)が受診までに一年以上かかっていることが明らかとなった。このような傾向を示す多くが、より早く受診できていた層に比べ、うつ傾向を強く示していた。この結果から、受診までの期間を短縮し、早期受診が可能になるような介入の必要性が改めて示唆された。 また、介入にて使用するチラシとWEBページに掲載する内容について、効果的なメッセージを開発することを目標としたインタビュー調査も実施した。一般的な学生ならびにメンタルの問題をかかえて保健センターを受診した経験がある学生、そして学外の専門機関利用の経験がある学生の合計5名に面接を実施し、利用者にとって有効な言葉と有効でない言葉についての結果を得た。これを受けて、チラシならびにWEBページの作成を行った。 そして、メンタルヘルスリテラシーに関する介入プログラムを大学区院生に加え学部生を対象に実施した。実施対象に合わせた事例を用い、学部生150名に対して大学授業の一部で行った。プログラムは、最低限の知識定着や理解の促進がみられ、一定の効果が確認された。その一方で、自由記述コメントにおいて、おもに理工系学部所属の学生と、人文科学系学部所属の学生とに違いがみられた。このことから、さらに対象を理解し、それぞれに応じた目標行動設定とコンテンツ構築が必要であることが考えられる。さらに、看護師向けの介入コンテンツを開発し、病院内の研修ならびにスクリーニングに使用している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
まずは、来年度以降に実施予定である保健センターの介入前ベースラインデータの収集が完了し、分析を進められている。長期間、受診できないままいる学生が半数近くいることが明らかとなり、課題に取り組む必要性がさらに明確となった。 また、予防教育の役割を担った大学生・大学院生向けコンテンツを使ったメンタルヘルス研修を拡大することができた。学生に応じたコンテンツ開発も進められている。さらに、対象を変え、看護師向けのコンテンツも作成することができた。これについては、実際の現場におけるメンタルヘルス問題への対応につなげることができている。 そして、保健センターにおける介入で使用するチラシとWEBページの開発が終了した。効果的なメッセージと症状例を掲載し、イラストを効果的に用いて早期受診を働きかけることを目的としている。
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今後の研究の推進方策 |
上記、保健センターにおけるメンタルヘルスケア受診勧奨介入研究を実施する予定である。しかしながら、保健センターは平成29年4月1日に改組が行われ、組織名称が変更されたため、受診勧奨方法を現在作成しているバージョンを最適化させる必要がでてきた。そのため、実施方法ならびに時期を再検討中である。また、教育機関以外の領域での実施も検討を進めている。メンタルヘルスケア・リテラシーに関する介入プログラムについては、引き続き大学内での実施、とくに学生以外の集団を対象とした実施を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
メンタルヘルスケア受診勧奨介入研究に用いる資材(チラシ、WEB)を開発したが、印刷物の配布は年度をまたいで行なう予定になったため、印刷費用の金額分を使用しなかった。また、メンタルヘルス介入プログラム(研修)の実施が予想より早く進展し、短期間に複数の実施となったため、研修前後の打ち合わせ回数を少なくすることができた。打ち合わせにかかる費用が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、介入研究の計画を再検討し、計画に沿った形で、適切に使用する予定である。
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