心理教育“サクセスフル・セルフ”では、こころの問題を予防したり対処したりする力を高め、こころの健康を保持増進し,社会の中で自分らしく生きる基礎力を身につけることをめざしている。 当該年度における本研究では、これまでに取り組んだ実践研究について詳細な検討を重ね、『“サクセスフル・セルフ”ぷらすセルフケア』の実践モデルを構築し、職場や訓練機関で活用可能なカリキュラム、ワークブックを作成することを目的とした。 新人医療従事者を対象として行った、2年間の実践の有用性について検討した。主な改訂は、X年には毎回変更していたグループ構成を、X+1年は、新たに新人事務職員を対象に加え、固定したグループメンバーで研修を行った。さらに、管理職によるミニ講義を追加した。各セッション後に役立ち度と感想を調査した結果、いずれの年度も「役立たなかった」と回答した者はおらず、X+1年度は90%を超える人が「役立った」と認識していた。感想分析から、本研修は、多職種同期の仲間意識を促進し、心の健康やチーム医療の実践に良い影響を与える可能性が見られた。これらを踏まえて、ワークブックを改訂した。 心理職を志す大学院生を対象として行った、3年間の実践の有用性について検討した。各年度において、“サクセスフル・セルフ”とセルフケアの構成、セルフケアおよびホームワークの内容について、改訂を行った。各セッション後に役立ち度と感想を調査した結果、いずれの年度も「役立たなかった」と回答した者はいなかった。感想分析から、本取り組みは「自分」と向きあう機会になっていると考えられた。本教育プログラムは、マインドフルネスや自分を思いやるセルフケアで気もちを整えてから、“サクセスフル・セルフ”に取り組み、ホームワークで日常につなげる構成が有用であると考えられた。これらを踏まえて、ワークブックを作成した。
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