研究課題/領域番号 |
15K04132
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松崎 佳子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (30404049)
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研究分担者 |
大場 信恵 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (00403931)
入濱 直美 西南学院大学, 公私立大学の部局等, その他 (20728448)
増田 健太郎 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (70389229)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 里親支援 / 実家族 |
研究実績の概要 |
被虐待などにより社会的養護を要する子どもは増加の一途をたどっている。愛着形成に問題を抱える子どもが多いなかで、家庭を基盤としたケアである里親養育(ファミリーホームを含む)は世界的スタンダードである。わが国も平成23年里親委託優先の原則を示し、その推進を目指しているが、平成24度末で14.8%と先進諸国では最低である。その背景に、実親の里親委託への抵抗があり、そのため実親との交流の見込めない子を里親委託している状況であるといわれている。また、里親制度自体の理解が進んでいない状況もある。従って、本研究では、実親と里親養育をつなぐにはどのような課題があるかを明らかにし、里親養育の質を高め、実親支援を包括した里親養育のあり方とその支援プログラムを研究することで里親委託推進を図ることを目的とする。 27年度は、里親委託における実親との関係についての現状を明らかにするために全国208 か所の児童相談所に対し、里親養育を受けている子どもと実家族との交流がどの程度行われているのか、里親養育と実親との関係に関する意識、および実親への支援の現状についてアンケート調査を実施し、現在分析中である。 さらに、子どもの受け入れをしている里親の実親との関係に関する意識がどのような状況にあるのか、また、実親への支援の現状についても現状把握のためアンケート調査を児童相談所の協力を得て実施し、現在回収中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国の児童相談所に対する里親委託における実親との関係についてのアンケート調査を実施することができ、さらに委託を受けている子どもと実親の交流がある里親へのアンケート調査についても実施することができたことは意義が大きいと考える。 また、国の子ども家庭福祉制度の変革期を迎えるなかで、里親制度に関する包括的支援を行っている里親支援センターの視察や日本子どもの虐待防止学会第21回大会において企画シンポジウム「家庭養護のさらなる推進と支援に向けて九州からの発信」が採択され、専門家、関係者間で活発な議論が行われたことは成果であると考えられると同時に今後の研究を進める上でも多くの示唆を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、現在進めている児童相談所および里親へのアンケート調査のデータ分析を行う。 また、子どもと実親との交流体験を有する里親への半構造化面接を実施、質的分析を進める。 国際NGO であるSOS子どもの村における里親支援についての視察調査も含め、西欧先進国の里親支援についての視察調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査の結果回収が年度末になり、郵便の後納支払い額が不確定であったため残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
アンケートの回収は28年度も継続しているため残額はその郵送費用の補充に当てる予定である。
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