研究課題/領域番号 |
15K04136
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
弘田 洋二 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 教授 (60285278)
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研究分担者 |
全 泓奎 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 教授 (00434613)
阿久澤 麻理子 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 教授 (20305692)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 母子臨床 / 地域 / 養護 / 心理的介入 |
研究実績の概要 |
児童養護施設および自律支援ホームの実態を調査した。地域においてNPOによって運営される「こども里、ファミリーホーム」、「こどもの里、自立援助ホーム」(大阪市西成区)および「自立援助ホームあらんの家」(奈良市大宮)の3施設を訪問観察、代表者への聞き取りを並行して行った。比較対象として「大阪府中央児童相談所」が運営する一時保護施設「なにわプラット」(大阪府箕面市)を訪問観察し、施設職員より実施・運営について聴取した。公的な施設の施設内の運営と地域との関係を参照することによって、知地域との結びつきを強調したNPOの子どもの権利に対する認識、理念に基づく施設運営の特徴を把握できた。「こども里」のファミリーホームの運営は、現在推奨されている「家庭的」養護について、具体的に何をすることが必要なのかを考える上で有益であった。居住福祉学会において、その報告をおこない(2016年5月)、子どもの権利と児童養護をテーマトシンポジウムを開催して専門家たちに問題提起した(2016年7月)。 連携する研究課題(東アジア都市における包摂型居住福祉実践に関する研究、基盤B:全代表)の調査で韓国ソウルを訪問し、養護施設と放課後デイケアを併設する施設を訪問し、地域や他の福祉機能との連携を試みる実践を調査した(2017年2月)。他の年齢の対象者や異なった種類の条件不利をもつ人々の支室の連携するときに、相互に与える好影響があることが注目されているが、その力動的な家庭について詳細に論じる準備段階である。 地域との連携、開かれた児童養護という点において、西成区の「こどもの里」の事業の先生性を確認した。最終年は、西成区の母子支援のネットワークにある保育園、虐待対応のNPOを定点観察して、地域福祉のグッドプラクティスを探り、臨床心理学的な観点から評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人権・多文化教育の観点から連携している分担者(阿久澤)の調査フィールドとして西成区がもっとも適切なのかどうか、これまでのところ明確ではない。地域の関係形成の観点から連携している分担者(全)とは、海外事例の調査などをとおして連絡はとれているが、西成区のネットワークという部分で、広く居住・生活の不利をもつ大人、そして子どもおよび母子に限った活動の有機的連携にたった調査計画が十分ではない。そのため、調査対象者、情報提供者を絞りきれなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
地域における養護システムのユニークな意義は確認できたが、心理的介入の方法、プログラム運営について、臨床心理学の専門性との関係についてより詳細な検討を加える。そして、人権・多文化教育、子どもの発達支援を中核とする地域コミュニティー再生に関するグッドプラクティスを探り、子どもの地域包括支援の活動実践について臨床心理学的観点を中心に、公共政策、福祉政策の観点からも評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
西成区のグッドプラクティスに関する調査の遅れに伴い、予定していた情報提供者への謝金の支払いが不要であった。
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次年度使用額の使用計画 |
海外・国内のグッドプラクティス調査の旅費、調査対象者への謝金支払、成果報告関係の支出を予定しており、基金化した部分が必要になると考えている。
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