研究課題/領域番号 |
15K04137
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
牧野 高壮 北海道科学大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30458137)
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研究分担者 |
平野 直己 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80281864)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域実践 / 臨床心理士 |
研究実績の概要 |
個別心理面接にとどまらず、クライエントに応じた多様な心理臨床活動のことを我々は、「地域実践活動」と呼ぶ。この、地域実践活動を手掛ける臨床心理士の体験プロセスを明らかにするため、これまで4名の実践家に対し、活動経過に焦点を当てたインタビュー調査を実施してきた。得られたインタビューデータから、各々の実践家について実践の特徴を抽出してきた。 上記の特徴を抽出するために用いた方法は、一回のインタビュー調査であった。そこでは実践に至るまでの背景および調査時点までの活動を振り返ってもらうことで、実践家がこれまでの自身の実践の流れや自分なりに意味づけたエピソードについて語ってもらうことができた。この方法で得た各実践家たちの特徴は、地域で活動をしている他の実践家たちにとって自身の活動の振り返りに役立ち、それをどのように意味づけることができるかという点で、参照枠になる役割を果たしていると思われた。 一方で、上記の方法で得られた特徴からは把握することの難しい点があった。それは、各々の実践家が現実的にどのような状況に置かれ、その時に何を感じ、それらが実践や実践家としての姿勢をどう変化させたのかという動的なプロセスである。これまでの調査で得られた語りは、あくまで実践家が「振り返った」うえで語る懐古的エピソードをもとにしていたことから、ひとまとめに「まあうまくいかずに大変だった」などと結論付けられることが多かった。 そこで、一連の研究では実践家を縦断的に追跡することで、発達的なインタビューデータを得ることとした。追跡調査からみることのできる実践プロセスの成長や衰退、そして具体的な活動内容の詳細を把握することができると考える。そして、これらに伴う実践家の内的な感情がどのようなものであるか、そしてそれが現実の変化へどのようにして結びついているか把握することが可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床心理士の実践プロセスを把握するために適すると想定された対象者を選定し、協力依頼することができた。インタビューおよびフィールドワークを実施し、当初の予定と同じく3名の実践フィールドへ赴いた。得られたデータの逐語化を現在進めている。また、継続的なデータの収集を行うために、電子メールなどを用いた情報のやりとりについての詳細を現在検討中である。得られたデータの目的に合致した形で利用可能であるかどうかすべては確認がなされていないため、多少の心配はあるものの、インタビューおよびフィールド調査に向けた準備経過およびインタビュー実施のためのガイドとなる参照枠については本年の学会発表の予定である。 上記の理由から、全体的にはおおむね予定通りの遂行がなされていると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
実践プロセスに関するデータを電子メール等を用いたやり取りで収集するため、その方法の詳細を検討する。これを用いた実践プロセスに関するデータを収集し、今年度末あるいは来年度初めに予定している二度目の追跡調査を計画する。この調査に向けたインタビューの実施詳細を練るとともに、学会発表に向けた形で途中経過を報告する予定である。
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