研究課題/領域番号 |
15K04142
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
山口 綾乃 政策研究大学院大学, 政策研究科, 研究助手 (40592548)
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研究分担者 |
小塩 真司 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60343654)
阿久津 聡 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 教授 (90313436)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 健康 / 楽観性 / 悲観性 / うつ傾向 / ウェルビーイング |
研究実績の概要 |
山口が平成27年度に行った2つの主要研究についての研究結果、考察、発展をここに説明する。第1研究として本稿は、多文化の視点から捉えた楽観性や健康、ウェルビーイング、そして幸福感や悲観性やうつ傾向について調べることを目的とする。本稿は、第2次資料を使用し、日米の中高年齢層の怒りの感情が高ければ高いほど社会不安度も高くなり、結果としてストレス度が高まるということを検証した。統計分析の結果、米国人と比べて、怒りを外に出さない日本人は、社会不安度を高め、最終的にはストレス度が高まるということが分かった。日本人と比べて、感情を外に出す米国人は、社会不安度を和らげ、ストレス度も和らげるということがわかった。第2の研究として、日米の大学生のQuality of Life (生きがい、生活の質)について検証してみた。インタビュー手法を使って質的調査を試みた。結果として8つのテーマが中心となっている日米の大学生の生きがいモデルを提唱することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的を達成するために、(1)過去の研究結果や理論研究をレビューし、楽観性や健康、ウェルビーイング、そして幸福感や悲観性やうつ傾向について詳しく調べ、定義づける。(2)第2次資料としてのデータや、質問紙調査などを行い定量調査における情報を収集し、パス解析や共分散構造分析などの統計手法を使って探索的理論モデルを提唱する。(3)心のケアのために、適切な外的刺激(アドバイス等)や社会政策、あるいは心理カウンセリング、学校教育、地域社会に貢献する方法を提言する。第2次資料としてのデータを早く入手することができた。さらに、統計分析を早く進めることができたため、解釈に時間をかけることができ、当初計画に比べて進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度得られた知見をさらに発展させ、研究目的の達成を目指して以下のように研究の手続きを進めることとする。①楽観性や健康、ウェルビーイング、幸福感や悲観性やうつ傾向などを入れたモデルを作成し、社会環境要因の分析:昨年度得られた解析結果をもとに提案されたモデルを適宜修正し、統計分析結果から楽観性や健康、ウェルビーイング、そして幸福感や悲観性やうつ傾向に関する新しいモデルを確立する。②質的調査としてのテキスト分析による心の豊かさの計測方法の確立:定量調査の結果をふまえて定性調査を行う。内容分析などを行い、最終的には心理変数とともに統計分析を行う。③学問の体系の確立:楽観性や健康、ウェルビーイング、そして幸福感や悲観性やうつ傾向などをもとにした新しいモデルを構築し、それをもとに論文を作成し、国内、海外の学会で様々な形で論文を発表し、さらに、国内、海外の学術誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況が思ったよりも早く進んでおり、研究業績として国際学会や国際ジャーナル(学術誌)に論文を投稿する予定である。文献調査並びに最新のデータ分析などが最初のころ実施できなかったため、前倒しした額を含む交付額が残っており、国内外の学会に参加する機会、アメリカの大学院教授を日本に招聘する機会に生かす予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究業績としての国際学会への参加や国際ジャーナル(学術誌)に論文を投稿し、海外での研究会に参加するための参加費用やアメリカの大学院教授を日本に招聘するためでもある。
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