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2017 年度 実施状況報告書

コンドーム使用時の羞恥感情の適応的機能とその制御によるコンドーム使用促進

研究課題

研究課題/領域番号 15K04145
研究機関上智大学

研究代表者

樋口 匡貴  上智大学, 総合人間科学部, 教授 (60352093)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード羞恥感情 / 社会的機能 / 性感染症予防 / HIV / コンドーム
研究実績の概要

平成29年度には先行研究の展望ならびに【研究2:コンドーム使用時の羞恥感情の適応的機能に関する実験的検討】を行った。コンドーム使用時には羞恥感情が強く生起し,それがコンドーム使用を強く阻害することが指摘されている。したがってその羞恥感情の抑制が適切なコンドーム使用にとっては重要なことである。しかしながらそれは簡単ではない。なぜなら羞恥感情を感じることには何らかのメリットがあると考えられるからである。そこで本研究課題では,羞恥感情による適応的社会的機能を明らかにし,それを制御した上でのコンドーム使用の促進を目指している。
現在までの研究によって,コンドーム使用時における羞恥表出のジェンダー差が重要であることが示された。例えば具体的には,「恥ずかしそうにコンドームを使用している女性」に対しては“かわいらしい”“純情”といったポジティブイメージが,一方同じく「恥ずかしそうにコンドームを使用している男性」には“気弱”“不慣れ”といったネガティブイメージが付与されていた。すなわち,羞恥感情の表出は一意に一定のイメージを生むわけではないことがデータによって示された。すなわち羞恥表出による社会的機能には大きなジェンダー差が存在する。
そこで,羞恥表出による社会的機能の性別での検討結果に基づいて予備的な実験を行った。男性参加者に対しては“誠実”“当然”“相手想い”といった単語を,女性参加者に対しては“かわいらしい”“純情”といった単語を用いてプライミングしたところ,男性参加者に対してはコンドーム使用意図が増加する傾向が見られた。一方女性参加者では明確な効果はなかった。どのような単語を利用したプライミングであれば,羞恥感情の低減効果,ひいてはコンドーム使用の増加効果が得られるのかをより十分に検討する必要性が明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究1の完了までは順調に進展している。しかしながら参加者への侵襲性を低く保った状態での研究2の実施の困難性が新たに発見され,さらに十分な効果を見込める実験条件の設定に時間がかかっている。そのため,研究2および3の実施が遅れているが,より適切な形での研究の進行のためには不可欠な段階にあると認識している。

今後の研究の推進方策

平成30年度も,基本的にこれまでと同様に研究を推進する。直接的・間接的に関連する文献の注意深い精査を行い,それを元にデータ収集の計画を立案する。参加者に対する倫理的な配慮を十分に整えた上で学内の研究倫理審査委員会にはかり,許可が出た段階でデータ収集を行う。
また今年度は特に実験的な研究を予定しているが,その操作方法については予備的な実験を繰り返し,より効果的な介入方法の開発に備えたい。確実な実験参加者確保および侵襲性の低減のために十分な実験準備を行い,確実な研究遂行を期する。

次年度使用額が生じた理由

当初予定においては,平成29 年度において研究2を完了させる予定であった。しかしながら研究1の結果および予備実験を行うことによって,対象者の選定や実験の実施により注意を払う必要性が新たに生じた。そのため平成30年度ではその対応策の検討を行い,研究2のために使用する予定であった額を繰り越すこととした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] ビデオ視聴法によるコンドーム購入インターネットトレーニングの効果2018

    • 著者名/発表者名
      樋口匡貴・中村菜々子
    • 雑誌名

      日本エイズ学会誌

      巻: 20 ページ: inpress

    • 査読あり

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公開日: 2018-12-17  

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