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2016 年度 実施状況報告書

司法領域におけるアセスメントとフィードバックの研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K04149
研究機関立教大学

研究代表者

熊上 崇  立教大学, コミュニティ福祉学部, 助教 (40712063)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード司法アセスメント / フィードバック / 心理検査
研究実績の概要

今年度(2年目)は,司法機関や矯正施設での心理アセスメント結果について,実際に触法行為をした人が地域生活に戻るにあたって,地域の専門家や機関にどのように共有されているのかの調査を行った。
3カ所の地域生活定着支援センターおよび1カ所の自立支援施設(矯正施設からの退所者で,自宅での身元引き受けができないケースで中間的に受け入れを行う施設)での調査を行ったところ,いずれの地域生活定着支援センターでも,司法機関で作成されたアセスメント結果が共有が十分ではないという状況であり,矯正施設から出所した障害のある人をできるだけ早く地域の福祉機関や医療機関につなごうとしても,アセスメント結果を共有されていないために,福祉機関との連携にタイムラグが生じているなどの状況が明らかになった。
また,矯正施設でのアセスメント結果のうち,特に行動面において,どのような場面でうまく支援ができるのか,逆にどのような場面では行動の困難が生じるのかというアセスメント情報が,地域での支援においても必要であるが,こうした状況も地域生活定着支援センターへの伝達が十分ではないことが多いとのことで,地域生活定着支援センターや地域福祉機関で改めてアセスメントを行うという状況も明らかになった。
司法機関による心理発達アセスメント情報が,司法や矯正機関の領域内部にとどまって地域の専門職と情報が共有されないことで,スムーズに福祉事務所との連携が行われない場合があるなどの課題があり,今後は,アセスメント情報を共有して支援に繋ぐシステム作りが必要であることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

調査に関しては,3カ所の地域生活定着支援センターや自立支援施設でのインタビューを行い,司法アセスメント結果の情報共有やフィードバック,福祉機関と司法機関の連携に関する課題について探索的に明らかにした。
論文発表については,心理アセスメント結果をどのように当事者にフィードバックしているかについて,初年度の研究成果をKABCアセスメント学会誌18巻に投稿し,「子どもへの心理検査の結果のフィードバック,実務者への質問紙調査の分析と「学習アドバイスシート」の作成」として掲載された。学会発表等については,第25回LD学会で「心理発達検査の検査者はどのように子どもにフィードバックをしているか」と題するポスター発表を行い,初年度の研究成果を報告した。第19回KABCアセスメント学会では,心理検査KABC-Ⅱのフィードバックに関するシンポジウムを行った。
さらに,司法アセスメントに関する国際学会AFCC(Association of Family and Conciliation Courts)第53回大会に出席し,アセスメント結果を当事者および裁判所にフィードバックする際のガイドラインなどについて情報を収集した。

今後の研究の推進方策

3年目は,司法領域の心理アセスメント担当者および地域生活定着支援センターへのアンケート調査を行う予定である。現在,前年度の地域生活定着支援センターへのインタビューや文献研究をもとに質問紙を作成し,当該団体への事前連絡を終えて調査の承認をいただいた。筆者の所属機関の倫理委員会への申請・認容も済んでおり,アンケート調査を近々実施できる予定である。
また,2年目に引き続き,複数の地域生活定着支援センターへの訪問調査を行い,司法アセスメント結果の情報共有やフィードバック,福祉機関と司法機関との連携の課題などについて,研究を進めていく予定である。
加えて,心理アセスメント結果を受け取る保護者の側へのインタビュー調査も予定している。
さらに,司法領域のアセスメント(例:少年非行や親権のアセスメント)に関する国際学会に出席し,国際的な司法領域のアセスメントの取り扱いに関する動向を調査する予定である。
これらの調査研究により,司法アセスメント結果を,効果的に地域での支援機関や福祉機関に繋ぐための方策・システム作りについて,論文や書籍にまとめる予定である。

次年度使用額が生じた理由

国際学会に2回参加する計画であったが,1回(第53回AFCC)の参加となったためである。
また,司法アセスメントに関する実務担当者へのアンケート調査を行う予定であったが,今年度は,事前準備として封筒などの印刷を行い,実際のアンケートの発送および集計は次年度となったためである。

次年度使用額の使用計画

司法アセスメントに関する実務担当者への全国的なアンケート調査として,印刷費,アンケート郵送費,返信用の郵送費などとして使用する予定である。
また,各地の地域生活定着支援センターへのインタビュー調査の旅費や,関連学会出席,国際学会出席に充当する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 子どもへの心理検査の結果のフィードバック2016

    • 著者名/発表者名
      熊上崇・熊上藤子・熊谷恵子
    • 雑誌名

      KABCアセスメント研究

      巻: 18 ページ: 79-88

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 心理発達検査の検査者はどのように子どもにフィードバック面接をしているか2016

    • 著者名/発表者名
      熊上崇,熊上藤子,熊谷恵子
    • 学会等名
      第25回日本LD学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-11-20 – 2016-11-20
  • [学会発表] 日本版KABC-Ⅱを活用した支援のあり方2016

    • 著者名/発表者名
      熊上崇
    • 学会等名
      第19回日本KABCアセスメント学会
    • 発表場所
      福山市立大学(広島県福山市)
    • 年月日
      2016-08-21 – 2016-08-21
  • [図書] 長所活用型指導で子どもが変わるpart52016

    • 著者名/発表者名
      藤田和弘,熊谷恵子,熊上崇,小林玄
    • 総ページ数
      213
    • 出版者
      図書文化

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公開日: 2018-01-16  

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