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2016 年度 実施状況報告書

更生保護法人に帰住した女子窃盗事犯者の実態調査

研究課題

研究課題/領域番号 15K04151
研究機関早稲田大学

研究代表者

藤野 京子  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10386568)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード財産犯 / 女性 / 仮釈放者 / 成人 / ナラティブ / 人生物語 / 将来展望 / 更生保護法人
研究実績の概要

昨年に引き続き、更生保護法人に在所している女性財産犯に自身の人生物語についてのインタビューを行っている。手法は、昨年同様、Foley Longitudinal Study of Adulthood (FLSA)をもとに、各人2時間程度をかけて行っている。このほか、昨年同様、同対象者に、心理社会的段階目録検査(EPSI:中西信男・佐方哲彦 (2001))、対処方略尺度(TAC-23:神村・海老原・佐藤・戸ケ崎・坂野(1995)、菅原・永房・佐々木・藤澤・薊(2006)が提示した自己本位、仲間的セケン、地域的セケン、社会全体の公共の利益や公平性の概念に相当する質問項目、Walters(2013)のThe Psychological Inventory of Criminal Thinking Styles (PICTS)で測定されている各尺度に相当する質問項目も測定している。
加えて、同対象者の更生保護法人の入所当初と退所間際の変化を測定するために、杉若(1995)の2種のセルフ・コントロール、天貝(1997)の自分や他人への信頼や不信を測定する成人版信頼感尺度(10項目)、木下・山本・嶋田(2008)のAcceptance and Action Questionnaire-II(AAQ-Ⅱ) のうち苦境等を受け入れるアクセプタンス下位尺度、Simons & Gaher (2005)の精神的苦痛耐性尺度も測定している。
インタビューで得られたデータは文字起こしをし、McAdams, Diamond, Aubin, & Mansfield (1997)のコード化手法を流用し、データのコード化を試みている。
このほか、上記EPSIについては、本調査対象者の得点と一般人との差異を検討するために、同目録検査を大学生に実施してもいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

全国的に犯罪者が減っており、調査協力を依頼している更生保護法人においても収容減となり、それに伴い、調査対象者である窃盗事犯者の収容者数が減っている。また、自由意思での参加を呼び掛けているので、参加に消極的な調査対象者も少なくない。そこで、実際の調査協力者数は当初予定していた人数には達していない。
また、昨年にも見られたように、更生保護法人の在所中は面接に応じるものの、追跡調査には協力しないとの意思を示す者、あるいは、追跡調査に同意はしたものの返信がなく、調査協力者には返信する義務が伴うわけではないため、追跡不能に分類される者が大半になってしまっている。
他の更生保護施設にも調査対象者を募るべく折衝中であるが、在所者のライフヒストリーを聞くというプライバシーにかかわることなので、施設として協力することに消極的であるとの回答を得る結果となっている。

今後の研究の推進方策

昨年度同様の方法で、引き続きデータを収集することを計画している。加えて、上述のとおり追跡調査が実質的に難しそうであるので、得られたデータに関して、測定した心理尺度得点をもとに比較検討することを検討している。
このほか、昨年から、本調査の財産犯の特徴を明らかにする目的で、同じ更生保護法人に在所する他の罪種の者にも調査枠を広げて調査をしているところであり、引き続きその調査も行うことを計画している。

次年度使用額が生じた理由

当初業者に文字起こしを依頼する計画をし、実際、調査協力者には個人の特定につながる名前などのプライバシー情報は伏せて話すように依頼している。しかし、調査協力者の多くが、話している中で思わず個人を特定できるような情報を口にする結果になっている。その対象者のプライバシーを保護するには外注はふさわしくないと判断し、その結果、研究代表者自身が文字お越しをすることになり、その分、経費が浮いている。加えて、当初計画していたほどの調査協力者が集まっていないため。
このほか、海外での発表に足るほどのデータの収集・分析には至っていないため。

次年度使用額の使用計画

十分なデータが収集できていないので、研究代表者の研究拠点地から遠隔であっても調査協力が得られるならば、そこへの旅費・宿泊費等に当て、また、個人を特定できなデータの場合には文字起こしの経費に充てる。
また、米国での窃盗犯をはじめとする女性犯罪者の実情及びそれへの介入についての情報収集のために米国への出張を計画している。そして、米国での窃盗犯の女性の現象との同異について英文雑誌への投稿を計画しており、その翻訳代にも充てることを計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 女性窃盗犯再犯防止プロジェクト:「リ・コネクト」プログラムの概要2017

    • 著者名/発表者名
      藤野京子
    • 雑誌名

      早稲田大学社会安全政策研究所紀要

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 窃盗の矯正における法と心理 指定討論2016

    • 著者名/発表者名
      藤野京子
    • 学会等名
      法と心理学会
    • 発表場所
      立命館大学
    • 年月日
      2016-10-16 – 2016-10-16

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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