研究課題/領域番号 |
15K04153
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研究機関 | 白梅学園大学 |
研究代表者 |
堀江 まゆみ 白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (50259058)
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研究分担者 |
内山 登紀夫 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (00316910)
安藤 久美子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, その他 (40510384)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 犯罪・非行 / 性犯罪再犯防止プログラム / 知的障害 / 発達障害 / 地域ネットワーク / 認知行動療法 |
研究実績の概要 |
知的障害・発達障害のある人が性暴力を行った場合、刑事司法システムをはじめとする法律の知識、性暴力矯正の知識や経験、対象者の障害特性の理解、当該障害に適用されるべき福祉および医療についての知識など、これらを包括的に持ち合わせた人材は少なく、適切にかつ十分な治療や支援を受けられない状況にある。本研究では英国における知的障害を抱えた性暴力行為者への地域における治療モデルSOTSEC-ID(知的障害を抱えた性暴力行為者への治療サービス共同体)について、①本プログラムの日本版作成とモデル実施、②セッション実施のための人材養成プログラムの作成と実施を行うことを目的とした。 研究1では、日本版のSOTSEC-IDプログラム内容の作成や視覚教材作成を進めた。イギリス版のSOTSEC-IDマニュアルの翻訳版の作成を行い、簡易マニュアルとして印刷した。プログラム内容としては、以下のような内容を進めた。①リスクアセスメントツール(アルマジロ)の翻訳版をもとに、性暴力対象者3人についてリスクアセスメントのモデル実施を行い、対象者の性犯罪関連リスクを抽出した。②性犯罪対象者に合わせたプログラム内容について、セッション導入部について視覚的教材を作成した。導入部は「セッションの目的」「ルールを守る」「ABCの分析」を中心に作成した。 研究2では、当該エリア地区の支援者等20人に対して、SOTSEC-IDインストラクター養成研修を行った。リスクアセスメントの実施方法やセッションインストラクターの基本姿勢、および認知行動療法の概要等について理解を進めた。 次年度にはプログラム中期後期の内容について検討し視覚的教材やインストラクター養成のためのマニュアルを作成することとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イギリス版SOTSEC-IDマニュアルには、導入および実施方法の概要までがあり、その後のプログラム内容については系統的な記述が不足していた。これを日本版として具体的な内容を検討するための時間が必要であった。 また、セッション対象となる性犯罪行為者の知的障害・発達障害のある人を地域からの選定するための手続きや同意書の説明、セッション参加の説明などを慎重に行った結果、時間が必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、日本版のSOTSEC-IDプログラム内容の作成や視覚教材作成について、中期後期分を作成する。中期後期部分は性教育、リラプロプリベンションモデル、グッドライブズモデルなどを組み込んで作成する。 また、人材養成としては、現在勧めている当該エリアに加えて、他地域でのSOTSEC-IDインストラクター養成研修を行うことを予定している。 このことにより、プログラム全体の完成と、プログラム実施にあたっての対象者選定や支援者のネットワーク形成などの一連の手続きを実施マニュアルとしてまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本版SOTSEC-IDマニュアルの検討を進めるにあたり、当初はイギリス版マニュアルで実施できる予定であったが、イギリス版では導入および実施方法の概要まででその後のプログラム内容については系統的記述が不足していた。これを日本版として具体的な内容を検討するための時間が必要であったために、マニュアル検討の費用を翌年度使用とした。 また、セッション対象となる性犯罪行為者の知的障害・発達障害のある人を地域からの選定するための手続きや同意書の説明、セッション参加の説明などを慎重に行った結果、モデルセッションの開始が遅れ、謝金等の費用が翌年度使用とした。
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次年度使用額の使用計画 |
日本版SOTSEC-IDマニュアルの前期中期後期部分を完成させるが、特に中期後期部分を充実させるために、次年度は検討費用を使用する。 SOTSEC-IDセッションのモデル実施について、特に中期後期を次年度に実施する。そのための検討費用として使用する。
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