研究課題/領域番号 |
15K04154
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研究機関 | 富山国際大学 |
研究代表者 |
大平 泰子 富山国際大学, 子ども育成学部, 講師 (00555188)
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研究分担者 |
鈴木 国威 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (20580913)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自傷行為 / 尺度 / 日本語版作成 / 信頼性 / 妥当性 / 双極性障害 |
研究実績の概要 |
自傷行為は、医療現場のみならず学校保健においても対応に苦慮する重要な問題の一つであり、自傷行為に関する適切な理解と対応が求められる。 本研究では、まず、自傷行為の評価に使用するための自傷行為質問紙の作成を目的とした。自傷行為に関する評価尺度であるDeliberate Self-Harm Inventory (DSHI)の日本語版を、翻訳逆翻訳の手続きにより作成した。作成した自傷行為尺度の信頼性および妥当性について検討するため、大学生および勤労者を対象として、DSHI日本語版のほか、重篤な行動を含まない自傷行為、抑うつ、境界性、感情調節からなる質問紙パッケージを実施した。DHSI日本語版によって測定された自傷行為の経験率、経験した自傷行為の項目数などについて集計した。尺度の妥当性について検討するため、自傷行為と関連すると思われる概念に関する既存尺度との相関を算出した。信頼性の検討については、クロンバックのα係数を算出した。また、追跡が可能であった大学生を対象として、質問紙パッケージを実施した3-4週間後に、再度、DSHI日本語版のみを実施し、再検査信頼性の検討を行った。 さらに、代表的な自傷行為である手首自傷は双極性障害との関連が指摘されていることから、双極性障害患者を対象として、自傷行為の有無および重症度、自傷行為に関連する要因などについて調査することを目的とした。双極性障害と診断された者を対象として、質問紙を用いて行動および症状を評価した。自傷行為、解離症状、衝動性、抑うつ症状、躁症状、自閉症傾向などについて自己記入式の質問紙にて測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自傷行為に関する質問紙の日本語版作成については、信頼性および妥当性を検討するために統計学的解析を行っているところであり、投稿準備中である。また、双極性障害の患者を対象とした研究では、質問紙を用いて行動および症状の評価を行った。今後、得られたデータについて分析を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
作成した日本語版尺度の信頼性および妥当性の検討に関しては、データに著しい偏りがみられ、適切な統計処理の方法を検討するために時間を要した。今後は、研究分担者との連携をより密にし、研究の進捗に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ入力等の作業のために研究補助者を雇用する予定であったが、研究代表者が自ら担当したため今年度は研究補助者への謝金を使用しなかった。また、現在、得られたデータの集計を行っているところであるが、研究成果を発表する段階までには至っていないので、研究発表や論文投稿に必要な経費を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、精神医学および心理学関連図書などの資料や、統計学的検討に使用するため統計解析ソフトの最新バージョンなどの物品を購入する。また、研究成果発表のために、旅費や翻訳・校閲、研究成果投稿のための経費を使用する。さらに、患者を対象とした追加検査を実施する場合には、研究協力謝金を支払う予定である。
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