研究課題/領域番号 |
15K04156
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
吉住 隆弘 中部大学, 人文学部, 准教授 (60535102)
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研究分担者 |
長谷川 真美 愛知医科大学, 看護学部, 助教 (00559148) [辞退]
川口 洋誉 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (60547983)
大矢 義実 愛知淑徳大学, 健康・医療・教育センター, 助教 (50707669)
森下 佳南 愛知淑徳大学, 交流文化学部, 助教 (30735220) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 子どもの貧困問題 / 生活保護 / 生活困窮世帯 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、生活困窮世帯の子どもが抱える問題と包括的な支援システムについて、複合的かつ多層的観点から検討を行なうことであった。2016年度は、①学校教員へのアンケート調査、②行政機関の調査、③保育園の調査、④フィンランドの視察を行なった。 ①については、公立小学校、中学校、高校に勤務する教員82名を調査した。その結果、家庭生活および保護者の問題の認識の程度は高校で低下し、小学校、中学校では生活面、学習面の支援が多く、高校では進学や就職といった具体的な支援が多くなることが分かった。支援の課題は学校間で差はなく、支援の難しさは学校の種別に関係なく認識されていた。 ②については、昨年度に引き続き、愛知県内の学習支援の実施状況についてアンケート調査を行った。分析の結果、福祉事務所設置自治体での学習支援実施率は向上していたが、生活困窮世帯の子どもを中心に対象者の把握・選別について行政関係者が苦心していることが明らかとなった。 ③については、名古屋市内の公立4保育園・私立1保育園を巡回・視察し、園長先生および主任保育士に対し聞き取り調査を行った。その結果、保育園の所在場所によって、貧困世帯から来る園児の数に地域差があり、園児が呈する問題行動の質にも違いがみられた。行政機関との連携については、多くの保育園が必要と考えていたが、具体的な連携の方法については課題があると答える保育園が多かった。 ④については、フィンランドの公立小学校、教育行政局、ネウボラへの視察・ヒアリングを行った。子どもの家庭環境や健康状態、支援の必要性などについて、出産前から出産後、就学前、小学校入学後と関連機関の間で情報共有がなされている実態が明らかにされた。学校においては、スクールソーシャルワーカー、カウンセラー、特別支援員などを配置し、機動的・可変的なチーム構成によって問題対応がなされていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学校、行政機関への調査および分析についてはほぼ予定通り行なうことができた。NPOの調査、保育園の調査、フィンランドの調査については、視察結果について分析をする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、公立小学校、中学校、高校の教員に対し、子どもの貧困に関する調査を行い、3年間で得られたデータについて論文にまとめる。保育園、NPOの調査についても、新に視察を行い、2年間で得られた結果をまとめる。フィンランドの調査については、2016年度視察できなかった福祉事務所の調査を行い、学校、行政、家庭間での連携の状況をまとめる。特に学校での子どもおよび家庭への対応を可能としている「児童生徒支援法」(2014年制定)を入手することができため、同法文ならびに運用の分析検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィンランドの視察先として予定していた福祉事務所が先方の理由によりキャンセルになり、予定した費用より少なくて済んだため。またNPOの視察先として近隣のNPOを中心に行なったため、旅費が少なくて済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
フィンランドにおける福祉事務所の視察を行い、また地域間の比較をするために、愛知県外の子どもの貧困に関するヒアリング調査を行なう。
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