研究課題/領域番号 |
15K04165
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大竹 恵子 関西学院大学, 文学部, 教授 (70405893)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 喫煙 / 健康行動 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、これまでの研究知見を発展させ、非喫煙者の受動喫煙行動変容ステージに関連する諸要因について検討するため、大学生を対象に研究を行った。 具体的には、調査研究では個人の喫煙に関する意識や受動喫煙をする/しない動機、喫煙に関する知識、社会的スキルについて、実験研究では喫煙に関する画像や動画を用いて印象評定を行い、各喫煙ステージとの関連性を検討した。その結果、非喫煙者で受動喫煙をしないという嫌煙高期の人たちが受動喫煙に関する動機づけのとくに健康意識が高く、喫煙に関する正しい知識や社会的スキルの主張性に関する得点が高かった。また、これらの得点は、喫煙行動ステージが進むにしたがって低下することが確認され、つまり、受動喫煙容認期になるにしたがって知識や主張性のスキルが低くなる可能性が考えられた。 同様に、画像と動画に関する実験でも、喫煙行動ステージが進むにしたがって喫煙風景に関する画像や動画に対する否定的な印象が低下する傾向が示され、とくに受動喫煙を断固拒否する嫌煙高期では男性よりも女性の方が喫煙に関する否定的な印象や意識が強く、一方、受動喫煙を容認している嫌煙低期や受動喫煙容認期では女性よりも男性の方が否定的な意識が高いことが示された。 以上の結果から、自身は喫煙をしない非喫煙者であるにもかかわらず、受動喫煙を容認している人たちの特徴として、正しい知識の不足と主張性スキルの低さ、喫煙に関する否定的印象の低さが明らかにされた。また、非喫煙者で受動喫煙を拒否する人と容認する人の違いとして、共感性や感情を伴うコミュニケーションでの意識や行動の違いについても示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、先の研究実績の概要でも記載したように、非喫煙者の受動喫煙行動変容ステージに関連する諸要因として、正しい知識の不足と主張性スキルの低さ、喫煙に関する否定的印象の低さ等を明らかにした。これらの結果から「おおむね順調に進んでいる」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を受けて、引き続き、喫煙行動のステージと感情を含む様々な要因との関連について検討する。さらに今後は健康行動を喫煙だけではなく食行動にも広げ、健康行動の変容ステージを基盤に、健康的な食行動やおいしさのメカニズムについて、感情の機能に着目しながら検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画としてはおおむね順調に進んでいるが、当初予定していた計画として、以下の2点の変更があったためである。1点目は、「人件費・謝礼」の支出であり、これについては、当初予定していた調査や実験を次年度に行うこととしたため、その際に必要となる研究協力者への支払いがなかったためである。2点目は、「旅費」の支出であり、これについては、当初、予定していた研究成果の公表(学会や研究会での成果報告等)を次年度に行うことにしたため、その分の未使用額が生じたためである。以上の2点について執行がなかったため、残額(次年度使用額)が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の金額については、次年度(平成28年度)の研究遂行に関する必要経費として、旅費および人件費・謝礼の使用を予定している。
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