研究実績の概要 |
近年、医療面でも注目され、臨床応用されてきている「音楽療法」は、少子高齢社会対策や予防医学、健康増進の推進の動向にも伴い、福祉、保健、教育場面で大きな拡がりをみせている。今後ますます社会への定着を図るには、その効果の科学的裏付けが求められる。本研究の目的は、効果判定方法として、心身障害、認知症等を主とした高齢者領域で開発を行ってきた音楽療法用評価表(MTCL-YK(S))、そしてリハビリテーション病院領域の特に「注意障害」対象のチェックリストとして改訂・開発を行ったMTCL-YK(DOA)を用いて、「パーキンソン病」において適用可能な評価表として改訂・開発を行うことであり、当該領域において有効な音楽療法プログラム・技法についても平行して検討することであった。この研究の過程で「パーキンソン病」対象用の評価表は、MTCL-YK(DOA)からの改訂よりMTCL-YK(S)からの改訂の方がより対象領域を捉える指標として望ましいことがわかり、改訂版はMTCL-YK(S)-1,2として作成を行ってきた。 本研究での平成30年度実施計画は、リハビリテーション病院において「パーキンソン病」を対象とした音楽療法実践において、MTCL-YK(S)-2を用いて音楽療法の対象者個々人についての評価を行い、評価のしづらさや問題点を明らかにし、改訂版についての信頼性・妥当性を検証し、MTCL-YK(PD)(Parkinson's Disease version)を作成することであった。実際、MTCL-YK(PD)作成に至り、評価者間のズレの減少を検証することで信頼性検証を行い、他の指標との相関分析を行うことで妥当性検証を行った。今後MTCL-YKシリーズのマニュアルを作成するための課題も明らかにすることができた。同時に音楽療法プログラムの有効性も検証でき、日本音楽療法学会等での成果報告を準備中である。
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