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2016 年度 実施状況報告書

認知症家族介護者のうつ、不安に対する認知行動療法の開発および有効性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 15K04175
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

田島 美幸  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 室長 (40435730)

研究分担者 佐渡 充洋  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10317266)
藤澤 大介  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30327639)
堀越 勝  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, センター長 (60344850)
大野 裕  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 顧問研究員 (70138098)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード認知症 / 家族介護者 / 認知行動療法
研究実績の概要

日常生活自立度Ⅱ以上の認知症患者は280万人(平成22年9月末時点)であるが、うち約半数は居宅で介護が行われており、介護による身体的・精神的ストレスによって抑うつ、不安症状を呈する家族介護者は少なくない。介護者の精神状態の悪化は時に認知症患者に対する不適切な対応や虐待にも繋がる場合もあり、BPSD症状にも影響するといわれている。そのため、家族介護者に対する精神的ケアを含めた包括的で効果的な支援が必要とされている。
本研究の目的は、認知症患者の家族介護者に対する認知行動療法(以下、CBT)プログラムを開発し、その有効性を検討することである。本研究では集団CBTプログラム、個人CBTプログラムの2つを開発することとした。【集団CBTプログラム】構成は月1回90分×5回、内容は①認知症の疾患教育、②介護ストレス、③認知行動療法、④社会資源の活用、⑤認知症患者への接し方 に関する講義とグループディスカッションである。2015年10月より介入効果検討を実施し、現在、介入研究を継続中である。また、2016年度は、これに合わせて【個人CBTプログラム】の開発に取り組んだ。ロンドン大学が作成した家族介護者向けのCoping strategy program(START)を翻訳し、日本語テキストを作成した。また、家族介護者の利便性を考慮し、在宅でのプログラム受講が可能となるように、訪問看護師がプログラムを実施する体制を築くことにした。次年度は、訪問看護師が行う個人CBTプログラムの介入効果検討を実施予定である。集団形式、個人形式の2つのタイプのCBTプログラムが完成することで、幅広いニーズに合ったサービスの提供が行えるようになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、①集団形式、および、②訪問看護師が実施する個人形式の2つのCBTプログラムを作成し、その効果検討を実施する。【集団CBTプログラム】では、国立精神・神経医療研究センターの倫理審査(2015年9月9日承認、承認番号A2015-049)を経て、2015年10月より介入研究を開始した。現在、3クール目を実施中である。また、本集団プログラムに関心を寄せる医療機関に協力を仰ぎ、実施機関を増やして介入研究を行うことを検討している。
【個人CBTプログラム】の進捗に関しては、ロンドン大学の家族介護者向けのCoping strategy program(START)を翻訳し終えて、日本語STARTを作成した。また、都立松沢病院の訪問看護部と連携して、介入研究を実施する体制を整えた。訪問看護の現場で実施しやすいプログラムにするためには、1セッション30分程度が適切であると判断し、現在、テキストの改訂作業を進めている。

今後の研究の推進方策

【集団CBTプログラム】では、2016年度に引き続き介入研究を実施し、目標登録数を目指していく。また、本プログラムに関心を寄せる医療施設の協力を仰ぎ、介入フィールドを拡げて研究を実施できる体制を整えていく。また、認知症疾患センターや介護福祉施設、地域包括ケアや介護予防事業等で活用できるように、プログラムの進行方法を記したマニュアルおよびプログラム実施時に使用するマテリアルを作成し、教育資材の普及を図る。

【個人CBTプログラム】では、訪問看護師が実施しやすいように、個人CBTプログラムの改訂作業を行う。また、数例の家族介護者にプログラムを試行し、高齢の介護者にも理解しやすい内容になっているかを確認する。同時に、介入研究の研究計画書の作成し、国立精神・神経医療研究センターの倫理審査を受ける。また、訪問看護師を対象に、「認知症の家族介護者を対象としたCBT」に関する研修を実施し、家族介護者向けのCBTが実施できる人材育成を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度は、集団CBTプログラムに加えて個人CBTプログラムを開始し、介入実施者を増やす必要があったため、最終年度に人件費・謝金分を繰り越すことにした。

次年度使用額の使用計画

繰り越し分は、平成29年度の助成金と合わせて、介入研究を実施するための人件費・謝金、マニュアルや教育資材、DVD作成費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (8件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 在宅医療におけるマインドフルネスの可能性2017

    • 著者名/発表者名
      藤澤大介
    • 雑誌名

      訪問看護と介護

      巻: 21(12) ページ: 208-212

  • [雑誌論文] 【ビッグデータにもとづいた術前リスクの評価と対処法】機能障害別 評価と対処法-認知機能障害(術後せん妄)2017

    • 著者名/発表者名
      竹内麻理、藤澤大介、三村將
    • 雑誌名

      臨床外科

      巻: 72 ページ: 175-179

  • [雑誌論文] 認知症の地域ケアに対する認知行動療法の応用2016

    • 著者名/発表者名
      田島美幸、橫井優磨、蟹江絢子、原祐子、樫村正美、堀越勝
    • 雑誌名

      精神科治療学

      巻: 31 ページ: 185-190

  • [雑誌論文] 認知症の社会的コストーインフォーマルケアコストを中心に.2016

    • 著者名/発表者名
      色本涼、佐渡充洋,、三村將
    • 雑誌名

      Brain and nerve

      巻: 68 ページ: 939-944

  • [雑誌論文] 対人関係のスキルを高めるために 傾聴の一歩先のコミュニケーション2016

    • 著者名/発表者名
      藤澤大介
    • 雑誌名

      ホスピスケア

      巻: 27 ページ: 59-77

  • [雑誌論文] 認知行動療法における診察手順2016

    • 著者名/発表者名
      藤澤大介
    • 雑誌名

      臨床精神医学

      巻: 45 ページ: 15-19

  • [雑誌論文] 精神科医療におけるコメディカルスタッフの認知行動療法実施の現状および今後の教育体制2016

    • 著者名/発表者名
      堀越勝、田島美幸、藤澤大介、中野有美、岡田佳詠、松本由紀奈
    • 雑誌名

      認知療法研究

      巻: 9 ページ: 134-145

  • [雑誌論文] うつ状態の認知療法と自己受容・自己肯定感2016

    • 著者名/発表者名
      山市大輔、藤澤大介
    • 雑誌名

      臨床精神医学

      巻: 45 ページ: 925-930

  • [学会発表] 認知症の家族介護者 を対象とした認知行動療法プログラムの開発2016

    • 著者名/発表者名
      田島美幸、横井優磨、原祐子、藤里紘子、岩元健一郎、吉原美沙紀、蟹江絢子、堀越勝
    • 学会等名
      第16回日本認知療法学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2016-11-23 – 2016-11-25
  • [学会発表] シンポジウム 地域ケアに活かす認知行動療法「認知症の家族介護者への認知行動療法」2016

    • 著者名/発表者名
      田島美幸
    • 学会等名
      第16回日本認知療法学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2016-11-23 – 2016-11-25
  • [学会発表] シンポジウム 認知症患者に対する認知行動療法「認知症患者の家族に対する支援から見えてくる本人支援の意義」2016

    • 著者名/発表者名
      原祐子
    • 学会等名
      第16回日本認知療法学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2016-11-23 – 2016-11-25
  • [学会発表] Predictive factors associated with psychological symptoms of the caregivers of people with dementia in Japan: Cross-sectional study.2016

    • 著者名/発表者名
      Shikimoto, R., Sado, M, Ninomiya, A., Yoshimura, K., Ikeda, B., Baba, T., Mimura. M.
    • 学会等名
      16th Annual Meeting of the International College of Geriatric Psychoneuropharmacology & 5thInternational Congress on Psychiatry and the Neurosciences
    • 発表場所
      Athens
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-08
    • 国際学会
  • [学会発表] 認知症の経済的影響について2016

    • 著者名/発表者名
      佐渡充洋
    • 学会等名
      第28回慶應義塾大学医学部三四会市民公開講座
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-10-04 – 2016-10-04
  • [学会発表] 認知症に対する学習療法の効果および費用対効果研究2016

    • 著者名/発表者名
      佐渡充洋
    • 学会等名
      第2回学習療法実践研究シンポジウム
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2016-09-18 – 2016-09-18
  • [学会発表] 認知症の家族介護者を対象とした介入方法とその効果:レビュー2016

    • 著者名/発表者名
      色本涼、藤澤大介、田島美幸、三村將
    • 学会等名
      日本老年精神医学会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2016-06-23 – 2016-06-24
  • [図書] くらしの中の心理臨床5 認知症2017

    • 著者名/発表者名
      田島美幸、吉原美沙紀、岩元健一郎、藤里紘子、原祐子
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      福村出版

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公開日: 2018-01-16  

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