研究課題
目的:前期高齢者における①ネガティブライフイベント経験時の精神的健康の縦断的変化と、②老年的超越の縦断的変化、③イベント経験前の老年的超越の高さにより、イベント経験後の精神的健康の変化に違いがみられるか(緩衝効果)を検討した。方法:対象者は地域在住の70歳代の高齢者であり、2010年のベースライン調査(調査時69-71歳)および2013年2014年の参加者追加調査(調査時72-74歳)に参加した1229人(男性576人、女性653人)であった。このうち、第3波調査となる2016年度の調査には651人が参加した(参加率52.9%)。これまで実施した3回の調査への参加状況は、3回とも参加583人、2回参加325人、1回のみ参加321人であった。2016年度調査参加者に対して、精神的健康、老年的超越、前回調査(2013年もしくは2014年)時からのライフイベントの経験などについて調査を行った。結果:現在データ整理中であり、まず、目的②の老年的超越の6年間の縦断的変化について報告する。日本版老年的超越尺度の尺度全体の得点について、混合モデルを用いて3地点6年間の縦断変化がみられるか、男女で違いがあるかを検討した。分析の結果、男女とも、第1波(47.8点)、第2波(48.7点)、第3波(51.1点)と6年間で有意に得点が高まることが示された(p<.001)。また、女性は男性よりも得点が高かったが、男女で得点の縦断変化のパターンに違いはなかった。
2: おおむね順調に進展している
2016年度は研究計画どおり前期高齢者群の3回目の追跡調査を実施した。本研究計画の中心となるのは、2013年2014年実施の第2波調査から2016年度実施の第3波調査であり、そこでの参加率は72%と分析に足る参加者のデータを収集することができた。また、老年的超越の高齢期の発達傾向も確認できており、2017年度に実施する総合的な仮説の検証を行える前提が整ってきている。
2017年度は後期高齢群対象者約1200名に関する追跡調査を実施する。2016年度の前期高齢者のデータと合わせて、最終的な仮説の検証を行う。
2016年度調査においては、参加者が予定よりも約100人少なかったため、参加者への連絡費用や謝品代があまる事となった。また、前期高齢者が対象者だったため、会場調査におけるアンケートを自記式としたため、その分の調査員を雇わなくてもよくなったため。また、調査員のリクルートがうまくいかず、当初より人件費がかからなくなったため。
2017年度は86歳前後の対象者の調査となる。そのため、面接調査を実施するための調査員の増員、調査に来るのが難しい参加者のためのタクシー代などに使用する。また、最終年度のため、調査データを年度内に整理するために、データ整理アルバイトを増員し雇用する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://www.sonic-study.jp/index.html