最終年度は、所属機関で実験が可能な脳活動データの収集から開始し、被験者は大学生と大学院生に協力してもらい、30名程度の脳波データ測定を行った。その後、他大学の施設でのfMRI実験を行った。 実験課題は、時間評価課題を用い、この課題に用いる刺激呈示の方法によって異なる条件を設定可能で、以下の5条件を設定した。1)左の手の甲(左手)、2)右の手の甲(右手)、3)左の足の甲(左足)、4)右の足の甲(右足)、5)コントロール。 実験データの分析は、まず、脳波データとfMRIデータをそれぞれ個別に基礎分析を行ってから、fMRI実験の結果を元に脳波データを用いてのダイポール分析を行った。 脳波実験の基礎分析の結果、手(左手・右手)条件では、呈示した反対側の電極位置(C1C3C2C4)の振幅が大きくなっていた。すなわち、対側支配性が出現していた。足(左足・右足)条件では、手(左手・右手)に呈示した場合と比べて、左右差(対側支配性)が小さかった。fMRI実験の基礎分析結果では、手(左手・右手)条件では、それぞれ対側の一次体性感覚野に活動があったが、足では、左足条件では、頭頂付近に賦活があったが、右足条件では活動を検出できなかった。ダイポール分析では、fMRI実験で得られた活動部位にダイポールを置き脳波データで検証し、刺激が出る前の2秒間の区間に活動が観察され時間的な変化を観察できた。 体性感覚が与える顕著性ネットワークへの影響については、今後、さらにネットワーク解析や成分分析を行う。動機づけの程度による違いも行動データの分析をし、詳細に検討を進める予定である。
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