本研究を通して,(1)膨大な事例空間において,個々の事例の抽象的理解が,規則発見に寄与していることが明らかとなった.特に,(2)事例の「表層的特徴」への着目は,問題解決の序盤に多く,中盤に向かって減少する一方,「構造的特徴」へ着目が中盤から終盤にかけて増加する傾向にあった.また,自身の行為を振り返る自己省察が,問題解決の終盤に増加していた.このことは,事例の抽象的理解が進んだ後,「自己省察」が可能になることを示唆している.そして,(3)膨大な事例空間に対する探索に関する認知モデルを構築とシミュレーションを通して,事例の抽象的理解が事例空間の探索に促進的に機能することを検証した.
|