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2015 年度 実施状況報告書

情動と覚醒および精神的健康に及ぼす睡眠延長の効果

研究課題

研究課題/領域番号 15K04186
研究機関広島大学

研究代表者

林 光緒  広島大学, 総合科学研究科, 教授 (00238130)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード睡眠延長 / 感情 / 怒り / 収縮期血圧 / 眠気
研究実績の概要

睡眠不足は、日中の眠気を引き起こし、居眠り事故の危険性を高めるばかりでなく、ネガティブな感情を引き起こすことが指摘されている。しかしながら、睡眠不足の人が睡眠時間を延長することでネガティブな感情を低減できるかどうかについては検討されていない。そこで睡眠延長が感情制御に及ぼす効果を検討するために,普段通りの睡眠時間で睡眠時間をとった条件(睡眠不足条件)と、普段より2時間睡眠時間を延長した条件(睡眠延長条件)を設定し、イライラ状態を喚起させた場合の攻撃性,自律神経系活動およびパフォーマンスを測定した。実験には,睡眠不足を自覚しながらも普段の睡眠時間が6時間未満で特性怒り(STAXI: Spielberger, 1988)得点が高い女子大学生12名が参加した。活動量計を用いて両条件における前夜の夜間睡眠を確認したところ,睡眠不足条件で平均5.4(±0.7)時間、睡眠延長条件で平均7.5(±0.7)時間であり、条件統制は成功した。翌朝に実施したイライラ喚起課題(中田, 2009)の正答率は,睡眠延長条件(92.1±3.8%)の方が睡眠不足条件(87.1±5.0%)よりも有意に高かった。また、状態怒り得点(Spielberger, 1988)は、睡眠延長条件の方が睡眠短縮条件よりも有意に低かった。Visual analog scaleを用いて測定した眠気、疲労、作業に対する動機づけについても,睡眠延長条件の方が睡眠短縮条件よりも有意に低かった。拡張期血圧では条件間で有意差は認められなかったが、収縮期血圧は睡眠延長条件の方が睡眠短縮条件よりも有意に低くなっていた。以上の結果から,普段から睡眠が不足しており攻撃性の高い者が睡眠を通常の時間に延長することによって、攻撃性や交感神経系活動の亢進を抑制できることが明らかとなった。本研究により、睡眠延長による感情制御の有効性を実証することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画書どおり平成27年度に計画した実験を完遂できた。得られた結果も、予想どおりとなった。この研究成果の一部は、平成27年度の学会にて公表し、平成28年度の学会においても公表する予定である。このように研究はおおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

研究計画書どおり、平成28年度は、睡眠延長が道徳的判断に及ぼす効果について実験室実験を行い、平成H29年度は、睡眠延長が日中覚醒と気分、精神的健康に及ぼす効果についてフィールド実験を行う予定であり、研究計画の変更はない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 照明と寝具の仕様変更による鉄道運転士仮眠施設における睡眠環境改善に関する研究2015

    • 著者名/発表者名
      千田琢・福間浩一・林 光緖
    • 雑誌名

      電気学会論文誌D(産業応用部門誌)

      巻: 135 ページ: 355-361

    • DOI

      10.1541/ieejias.135.355

    • 査読あり
  • [学会発表] 睡眠不足への対処 ~夜間睡眠の延長効果について~2015

    • 著者名/発表者名
      林 光緒
    • 学会等名
      第24回日本睡眠環境学会学術大会
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2015-09-11 – 2015-09-11
    • 招待講演
  • [学会発表] 眠気の日内変動2015

    • 著者名/発表者名
      林 光緒
    • 学会等名
      第24回交通医学工学研究会学術総会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      2015-07-20 – 2015-07-20
    • 招待講演
  • [学会発表] 睡眠段階2の特徴:睡眠の質について再考する2015

    • 著者名/発表者名
      林 光緒・伏見 葵・飯塚尚司・栗山あずさ
    • 学会等名
      日本睡眠学会第40回定期学術集会
    • 発表場所
      宇都宮市
    • 年月日
      2015-07-02 – 2015-07-02
  • [図書] ドライバ状態の検出、推定技術と自動運転、運転支援システムへの応用2016

    • 著者名/発表者名
      林 光緒・小栗宏次・間瀬 淳・大須賀美恵子・横山清子・小蜂秀彦・金子成彦・藤田悦則・中田 透・寺田佳久・森川幸治・新井義和・曽我正和・小林康秀・齋藤充行・横谷 靖・平田耀満・鈴木美緒・屋井鉄雄・河合辰夫・浅井 剛・清水 司・秋間 広・渡邊航平・荒川俊也・鈴木桂輔・高田 一・村中徳明、他45名
    • 総ページ数
      485
    • 出版者
      技術情報協会
  • [図書] 睡眠のトリビアⅡ2016

    • 著者名/発表者名
      北浜邦夫・林 光緒・原田哲夫・宮崎総一郎・堀 忠雄・田中秀樹・板根直樹・堀口 淳・福田一彦・保野孝弘・内田 直・北村拓朗・山内基雄・外木守雄・杉山 剛・佐藤 誠・笹澤吉明
    • 総ページ数
      158
    • 出版者
      中外医学社
  • [図書] 快適な眠りのための睡眠習慣セルフチェックノート2015

    • 著者名/発表者名
      林 光緖・宮崎総一郎・松浦倫子
    • 総ページ数
      183
    • 出版者
      全日本病院出版会

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公開日: 2017-01-06  

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