研究課題
基盤研究(C)
まず、生後5~8か月の乳児を対象とした選好注視実験を行った。その結果、乳児でも成人が「信頼感が高い」と判断した顔画像を注視することが分かった。したがって、顔からの印象知覚にはあまり複雑な社会的経験は必要ないことが推測される。次に、幼児および成人を対象に、様々な印象判断実験を行った。その結果、印象によって幼児でも成人と同様の判断がなされるものと全く異なるものがあることが示された。印象の種類によっては、発達とともに判断基準が変化する可能性があると考えられる。
認知心理学
本研究で得られた知見を総合すると、顔から印象を知覚する能力は多くの社会的経験や複雑な社会的相互作用を必要としないことが推測される。社会の中で生きる上で、他者が自分にとって味方となりそうか等を評価する能力は非常に重要かつ基本的なスキルであるが、これまでその発達過程についてはほとんど解明されていない。本研究課題により、顔認知の重要な側面である印象知覚のメカニズムの解明に大きく寄与することができたと考える。