研究課題/領域番号 |
15K04199
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
青山 謙二郎 同志社大学, 心理学部, 教授 (50257789)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サッカリン / 人工甘味料 / 肥満 / 条件づけ / 条件性飽和 / ラット |
研究実績の概要 |
平成27年度は、ラットにサッカリン入りヨーグルトを与えた場合と、グルコース入りヨーグルトを与えた場合で、体重・ホームケージでの摂食量、オペラント箱での砂糖ペレットの摂取量を比較した。 実験1では、オペラント箱での実験を行わず、ホームケージでサッカリン入りヨーグルトを与えた群(サッカリン群)と、グルコース入りヨーグルトを与えた群の体重とホームケージでの摂食量を比較した。その結果、サッカリン群のラットの方がグルコース群のラットよりも体重は重くなったが、ホームケージでの総摂取カロリー(餌とヨーグルトと甘味料の合計)には群間に差が見られなかった。この結果は、Purdue大学のSwithersらの研究グループの結果と、体重に関しては一致しているが、総摂取カロリーに関しては一致していない。 実験2では、まずオペラント箱でレバーを押して砂糖ペレットを摂取する訓練を実施した。その後、ホームケージでサッカリン入りヨーグルトを与えた群(サッカリン群)と、グルコース入りヨーグルトを与えた群を設けた。実験1と同様に、サッカリン群のラットの方がグルコース群のラットよりも体重は重くなったが、ホームケージでの総摂取カロリー(餌とヨーグルトと甘味料の合計)には群間に差が見られなかった。さらに、この期間の後に、オペラント箱に入れ、砂糖ペレットの摂取量を比較したところ、群間に差が無かった。 これらの結果は、カロリーのない人工甘味料の摂取が体重増加を生じさせるという点では、先行研究と一致している。しかし、その原因が、「甘味とカロリーの連合が失われることによって摂取行動の制御がうまくいかなくなったためである」との仮説には一致しない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サッカリン摂取による体重の増加については先行研究と一致する結果となったが、総摂取カロリーが増加しないことが先行研究と不一致であり、また砂糖ペレットの摂取が増加しないことが事前の予測と不一致であった。そのため、研究計画の再検討が必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
7月にPurdue大学のSwithers教授およびWestern Washington大学のGrimm教授と共同のシンポジウムを実施することになっており、その際に、先行研究との不一致が生じている原因について詳細な情報交換を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、2つの実験で、サッカリン摂取により体重が増加する点では先行研究と一致していたが、その間の総摂取カロリーに差がない点が、先行研究とも理論的予測とも不一致であった。その点に関して、研究計画の再検討が必要となったため、実験の遂行が予定よりも遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には、先行研究との不一致を解消すべく、実験条件を見直して改めて実験を遂行するために、当初予定よりも研究費が多く必要になる見込みである。また、Western Washington大学のGrimm教授を日本に招聘し、研究に関する打合せを実施する予定である。
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