平成30年度は、人工甘味料であるサッカリンを入れたヨーグルトと甘味料を入れないプレーンヨーグルトの両方を不規則な順で摂取する経験をした実験群のラットと、プレーンヨーグルトのみを摂取した統制群のラットで、ホームケージでの体重の変化を比較し、さらにオペラント箱での砂糖ペレットを強化子とした場合のレバー押し行動を比較した。また、その際、飼育室で与える餌の種類を先行研究とは異なるものにした。 まず砂糖ペレットを強化子としてレバー押し行動を5日間訓練した。その際、初日を除いては飼育室では餌と水は自由に摂取できる状況であった。また、強化スケジュールは連続強化であり、レバーを押すたびに1粒の砂糖ペレットを提示した。その後、3週間のヨーグルト期に入った。ヨーグルト期には週に6日間、飼育室で20gのヨーグルトを与えた。実験群では週に3日はサッカリン入りヨーグルトを、残り3日はプレーンヨーグルトを与えた。順序は不規則に交替した。統制群では6日ともプレーンヨーグルトを与えた。この間、飼育用の餌と水は自由に摂取できた。その後にオペラント箱でのテストを3日間実施した。ラットがレバーを押すたびに砂糖ペレットが1粒与えられた。 その結果、ヨーグルト期において、体重の増加に群間に差は見られなかった。まこの結果は、海外の先行研究や、前年度までに当該研究室で行った結果と一致しない。オペラント箱でのレバー押し行動のテストでも群間に差は見られず、これも前年度までに当該研究室で行った結果と一致しない。一方、飼育室での餌の摂取量は、ラットの体重あたりに換算すると、わずかに実験群の方が多かった。 人工甘味料の摂取経験により、飼育用の餌の摂取量が増加するが、体重は増加しないという結果は、今までの先行研究では観測されていないパターンである。飼育用の餌の種類が、人工甘味料の効果に影響を与えると推測される。
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