最終年度である2018年度は、今まで行ったことのない地域での資料調査と論文作成を行なうことが目的であった。1点目の資料調査では、初めて全羅道北部で調査を行うとともに、慶尚南道釜山での追加資料を収集することができた。 (1)全羅道での調査は8月に1週間ほど地域調査を行なった。事前の日本での資料整理を経て、全羅北道庁の資料館で市史などを閲覧して全体像を把握した。その後、全州・益山・光州・高敞での100年史および植民地期の教育についての資料調査を行なった。そこでは植民地期関する地域資料を収集することに勤めた。特に高敞では、地域に住む案内人を得ることができて、学校の訪問や歴史館の見学、植民地期の地域の話を聞くことができたのは大きな成果であった。加えて、全羅道に向かう前日と日本帰国日のソウルでは、韓国国立中央図書館にて全羅道に関連する植民地期の教育雑誌および新聞記事を閲覧し、資料の補完をすることができた。 (2)12月に5日ほど釜山で地域調査をおこなった。それまでの釜山の調査では初等を中心に資料を収集していたが、今回は中等教育を中心に調査を行った。前近代に中心地であった東來の中等学校の歴史館での資料収集や、釜山市立広域市民図書館での関係資料の収集を行った。 2点目の論文作成については、2017年度に韓国の国際学術大会で報告した「福岡高等女学校卒業生の「東アジア」移動」に、2018年度で調査した高敞での人物内容を追加し論文を作成した。
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