本研究では、ドクロリー自身の教育思想や実践改革構想、ドクロリー・メソッドによるプロジェクト型カリキュラムの実践的特質を把握し、1920年代に日米両国にもたらされたドクロリー・メソッドの実践情報が、当時の教師たちにどのように伝わったのかを解明した。その上で、日米の教師がどのような研究態勢や開発条件のもとでドクロリー・メソッドの影響を受けていたのかを比較した。 最終年度においては、補充調査を実施し、以下の文献を収集した。 1.ヨーロッパ・アメリカにおいてプロジェクト型カリキュラムの開発に関わった教師とその実践に関する資料。2.大正新教育運動においてドクロリー・メソッドの影響を受けたプロジェクト型カリキュラムの開発過程に関する資料。以上の事項に関して、国立国会図書館、 国立教育政策研究所教育図書館、東京大学、上智大学、神戸大学、奈良女子大学、広島大学、広島県立図書館、佐賀県立文書館などが所蔵する資料の調査を実施し、関係資料の収集を行った。 上記に加えて、ドクロリー・メソッドを導入していた日本の実践者の自伝、回想録、インタビュー記録など個人文書等についても補充調査を行い、これまでに収集した全ての資料を整理し分析した。 研究成果の一部を世界新教育学会国際フォーラムのシンポジウム(新しい時代の教師教育―新教育からの展望―)や国際教育史学会ベルリン大会(International Standing Conference for the History of Education 40)のシンポジア(The“Natural”circulation of Educational Information?: Western Educational Methods in 19th and early 20th Century Japan)等で報告したほか、著書3点、論文7本にまとめて発表した。
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