研究課題/領域番号 |
15K04220
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉川 卓治 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50230694)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 公立大学 / 戦後改革期 / 教育学 / 教育史 / 高等教育政策 |
研究実績の概要 |
本年度は、主として国内における資料の調査・検討を行なった。 公立大学政策にかかわっては、まず国立国会図書館憲政資料室および本学附属図書館に所蔵されているマイクロフィッシュ化されたGHQ/SCAP文書、Trainer文書の調査・検討を行なった。併せて、国土庁刊行の雑誌『人と国土』に掲載されている公立大学政策関係記事の調査も実施した。「地方資料」については、国立公文書館に所蔵されている各公立大学の「設置認可申請書」の調査・収集を行なった。 これらの資料をもとに戦後改革期から射程を延ばし、戦後の全期における公立大学の新設傾向とそれにかかわる政策動向を整理した。その結果、1980年代半ばまでの公立大学の停滞期における政策動向のうち、1970年代前半までの政策全般における新設抑制の構造を把握したうえで、1970年代後半における高等教育機関の抑制傾向のなかで公立大学への期待が縮減する一方、国土開発の観点から公立大学への期待が高まっていたことを把握することで戦後改革期の公立大学の成立過程に含まれる政策側のモメントを捉えなおすことができた。また公立大学の設置位置に注目し、それが戦後急速な増加のなかで都市から地方に中心が移動することを示し、そのことが公立大学理念に及ぼす影響について検討した。これらの研究の成果の一端は民主教育協会刊行の『IDE』2016年5月号に掲載予定の「公立大学の戦後史」において発表される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は主として国内調査を実施した。当初海外での調査も予定していたが、2015年度には実施できなかった。しかし、計画にも「他の作業の進捗状況との関係で翌年度以降に延期する可能性もある」と書いたように2016年度以降に実施することは想定の範囲内である。また研究成果の一部も論文として2016年度早々に公表される予定であるため、上記のように「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず2015年度の積み残しである海外調査を実施し、公立大学政策に影響を与えたと考えられる占領軍関係者の文書を調査・収集する。また併せて、前期から実施しているGHQ/SCAP文書、Trainer文書の調査も引き続き行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
予め「他の作業の進捗状況の関係で翌年度以降に延期する」と研究計画に記したように、2015年度に実施予定の海外調査を翌年度以降に延期したことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度に実施予定の海外調査を翌年度以降に実施する。
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