本研究は、近年の教育研究における脳科学受容の広がりを背景として、教育実践において科学的根拠(エビデンス)がどのように受容されているのかを、教育実践者へのインタビューから明らかにすることを目的とするものである。研究期間の中で、研究方法論の検討、海外の動向調査、教員へのインタビュー調査を実施した。その結果として得られた知見は次のようにまとめられる。いまだ科学的根拠(エビデンス)というキーワードは学校現場では広く認知されるに至っていないが、学校が置かれた磁場も変化してきている。現代の教師たちは、テストやアンケートなど様々に数値化された情報によって自らの実践感覚や価値観を方向づけられている。とりわけこうした影響は若手教員に強く表れており、こうした学校をめぐる磁場の変化をとらえる上で、アクターネットワークセオリーといった方法論を採用することの重要性が示唆された。
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