研究課題/領域番号 |
15K04239
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
蓮見 二郎 九州大学, 法学研究院, 准教授 (40532437)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シティズンシップ教育 / 熟議民主主義 / 政治リテラシー / 共和主義 / 主権者教育 / 18歳選挙権 |
研究実績の概要 |
本研究全体の目的は、シティズンシップ教育の中核理念の一つである「政治的リテラシー(政治リテラシー)」の概念を熟議民主主義の観点から教育目標論・教育評価論・教育方法論の三つのレベルで実質化することにある。そのうち平成28年度の研究実施計画では、平成27年度に行った教育目標論の議論をさらに精緻化するとともに、特に教育評価論の部分について検討することを計画していた。 この目的・計画に照らして、平成28年度に実施した研究の成果は、次の通りである。(1)シティズンシップ教育の国際的な研究ネットワークであるCitizedに参加し、また、英国のEast Anglia大学を訪問するなどして、「Character educationか、Citizenship educationか」という問題を含め、英国を中心とした海外における最新の研究動向について調査を行うことができた。(2)イギリスの教育哲学者Geofferey Hinchliffeを日本に招聘し、その独特な共和主義的な教育論のシティズンシップ教育に対する含意について、東京と福岡で国際会議をそれぞれ開催することができた。(3)目標論・評価論を踏まえ、日英教育学会や教育方法学会等で研究成果の中間報告を行った。特に、18歳選挙権施行との関係で、主権者教育に対する含意について検討を行った。 これらの意義・重要性として、平成27年度の研究に引き続き、シティズンシップ教育論の中でも共和主義的な理論について、これまでの日本では理解が浅かったか、あるいは、場合によっては誤解されてきたことが明らかになり、熟議民主主義論との関係について、さらなる見当が必要なことが明らかになった、という点を挙げることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度できなかった共和主義のシティズンシップ教育論については、Hinchliffe氏招聘による2回のセミナーで大きな成果を挙げることができた。また、平成28年度の主たる課題であった、教育評価論的研究についても、文献を読み進めることができ、その成果を学会等で報告することができた点で、おおむね順調な進展であったと言うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27・28年度の成果を踏まえ、共和主義のシティズンシップ教育論をさらに深く探究するとともに、共和主義における熟議に関連させて、平成29年度は教育方法論的な観点からも研究を着実に進める方針である。 (1)Peterson氏を招いた研究会を行い、共和主義に関してさらに議論を深める。 (2)「選好の変容」について、共和主義的な熟議の観点から理論・実証の双方から解明を目指す。
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