研究課題/領域番号 |
15K04247
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
冨士原 雅弘 日本大学, 国際関係学部, 准教授 (30339238)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 史料分析 / 調査収集 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度実施した国立公文書館、群馬県立文書館、和歌山県立文書館、新潟県立文書館における史料調査において収集した実科高等女学校の組織変更に関する史料の分析と整理を中心に研究を進めた。これらの資料の分析作業を進める中で、とりわけ新潟県において興味深い事態が生じていたことを確認したため、本年度は再度新潟県において悉皆調査をおこない、新たな史料を収集した。具体的には、新潟県の佐渡郡における実科高等女学校の設置、郡立移管、県立移管をめぐる県・郡・町村の激しい対立に関する史料である。こうした事例は全国的にみられたものだったと思われるが、地域の出来事であるため、残念ながら史料的な裏付けが難しいことが少なくない。そうした中で佐渡郡の事例は郡役所史料や郡会議事録なども残っているため、具体的な分析が可能と考えている。この成果は、来年度の全国学会で発表する予定である。他には来年度予定している福井県では、県立実業女学校が存在していたこと、南条郡武生町が町立高等女学校と町立実科高等女学校を設置していたことなどに関する史料調査・収集を予定している。 今年度の成果については、収集した史料の分析と整理を中心に継続的に進めている関係でほとんど無い状況ではあるが、本研究課題に直接関係するものとしては、本研究課題の先行研究にもあげている書籍の書評をおこなった。この書評の中で、著者が明らかにしていない点について、本研究で調査・収集した成果をもとに言及した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究をスタートして2年が経過し、作業としてはおおむね順調に進んでいると考えている。歴史研究の主たる作業となる基本文献や史料の調査・収集が順調におこなえているからである。とりわけ新潟県での調査は、佐渡郡内での実科高等女学校昇格をめぐる激しい対立とその後の顛末に関する史料を収集することができ、当時の郡や町村における中等教育機関に対する認識や位置づけを明らかにするうえで貴重な事例であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度で最終年となるため研究の総括をおこなう。新潟県の事例を全国学会で発表し論文投稿をおこなうとともに他の調査によって収集した史料の公開準備する予定でいる。ただし、公開に制限を設けている文書館もあるため、すべてを公開することは難しい状況である。 また、最終年ではあるが、福井県において興味深い事例が確認できたので史料の調査・収集をおこなう予定でいる。他府県でも確認すべき事例がでてきた場合には、調査・収集をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
複数回の出張を予定していた時期に転職したため、当初の計画を実行できなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は研究総括が中心的作業となるが、前年度にやり残した史料調査も並行しておこなう。
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