本研究はアメリカやドイツなどでの史料調査の結果、20世紀初頭に在外日本人学生同士の親睦あるいは外国人との国際交流の発展拡大について、新たな知見を得られた。アメリカにおいては、日本人学生会が全米ネットワークを形成する背景にYMCAの働きがあったことが分かった。同志社総長を務めた湯浅八郎も1916年頃イリノイ大学でYMCAの活動に加わり、国際主義への意識を強めていった。また、日本女子大学校長成瀬仁蔵は、1912年に世界平和のため帰一協会の結成を米国知識人に呼びかけた。 一方のヨーロッパでは日英協会、日独協会などが組織されるが、特にドイツは都市ごとでの活動に終始し、全国的な活動には発展しなかった。
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