研究課題/領域番号 |
15K04262
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
吉田 亮 同志社大学, 社会学部, 教授 (00220690)
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研究分担者 |
物部 ひろみ 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (10434680)
竹本 英代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50294484)
高橋 典史 東洋大学, 社会学部, 教授 (50633517)
本多 彩 兵庫大学, 共通教育機構, 准教授 (90584798)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アメリカ日系人 / アメリカ化教育 / 教育活動 / 越境教育 / キリスト教 / 仏教 / 天理教 / 金光教 |
研究実績の概要 |
本研究は等閑視されてきた第二次大戦期、収容所外でのアメリカ日本人移民(日系人)教育活動の歴史を実証的に明らかにすることを目的とする。特に地域差、宗教差に着目した。 地域差をみていく。ハワイでは日系二世指導層が米軍に代わって「非常時奉仕委員会」を介して日系社会のアメリカ化啓発活動を担うというように、日系民族文化を自発的に規制して軍の秩序を維持する役割を果たすことで、主体的に戦時下の軍行政に関与していった。 シカゴとニューヨークは米大陸に位置しながらも強制収容の対象とならなかったこともあって、日系集団は地域社会内での活動が規制されることはなく、収容所から再定住する日系人による現地社会への再適応を支援する活動を主体的に担い、そのためのアメリカ化啓発活動を進めた。その際に、ハワイと違い、現地社会の団体と時に連携しながら、世代差や人種差を越えた活動が展開されていった。抑留キャンプという特殊な状況下にあった日系人は、収容所ほど規制が厳格でなかったため、日系人は主体的に日系組織を形成し、その教育活動においてはハワイやシカゴ、ニューヨークとは違い、母語学習を組み込んだアメリカ化教育を日系二世に対して施していた。 宗教差を見ていく。神道に近い日系宗教、仏教、キリスト教という順番に、活動力を広範に展開していた。ハワイの神道系に近い金光教・天理教教団は教育活動に関与ができなかった。仏教は、神道系とは違い、信教の自由が大きく規制されることはなく、収容所内でもキリスト教会と連携した活動を行う自由が与えられていたし、シカゴの仏教会も大きな規制を受けることなく、現地日系社会の再適応を主体的に進める諸活動を広範に展開した。ニューヨークでもキリスト教会は仏教会以上に人種差を越えた日系人の再適応アメリカ化活動を展開しやすかった。
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