研究課題/領域番号 |
15K04264
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
村井 尚子 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (90411454)
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研究分担者 |
濱谷 佳奈 大阪樟蔭女子大学, 児童学部, 講師 (60613073)
小野寺 香 奈良女子大学, アドミッションセンター, 准教授 (60708353)
坂田 哲人 帝京大学, 高等教育開発センター, 助教 (70571884)
山本 一成 大阪樟蔭女子大学, 児童学部, 講師 (70737238)
中山 美佐 大阪樟蔭女子大学, 児童学部, 講師 (90738486)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リアリスティックアプローチ / 教師の専門性向上 / 教師のレジリエンス / 教育者のタクト / 現象学的教育学 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、以下の研究を実施した。 ①リアリスティックアプローチを用いた教職実践演習の授業開発とその成果の検証:昨年度の実践に加え、今年度は4年間の学びの履歴と卒業後の学びへの展望を表す「学びの樹」を開発した。一連の授業実践の内容について本研究メンバー全員で日本教師教育学会ラウンドテーブル「リアリスティックアプローチを用いた教員養成の実践-教職実践演習を中心に」を開催し、その内容を踏まえて大阪樟蔭女子大学紀要論文を執筆発表した。また、授業の成果を学生の事前事後の評価アンケートとして検証し、学会誌への投稿を行っている。②実習指導や就職活動支援などの個別的な指導場面でのリアリスティックアプローチの援用とその成果の検討:主に中山が行っている個別指導におけるリアリスティックアプローチの援用のあり方について検討し、日本保育者養成教育学会において発表を行った。③他大学、教育機関へのリアリスティックアプローチを用いたリフレクションの手法の紹介と実践:京都教育大学のメンター養成プロジェクト、立命館宇治高校の3年次授業において導入するリフレクションワークを開発し、研修、授業を実施した。④保護者理解を促す授業の開発とその成果の検証:リアリスティックアプローチと現象学の手法を合わせて、学生の保護者理解を促す授業を行い、その成果を記述分析の形で実施した。⑤教育的タクトの養成に関する原理的な研究:教育的タクトの養成について、ドイツ教育学や日本の古典的な教育哲学研究から示唆を得、マックス・ヴァン=マーネンの提唱する現象学的方法とリアリスティックアプローチとの融合によって教育的タクトの養成の方途が見出されるとする原理的な研究を行った。研究成果については日本教師教育学会で発表し、今後学会誌に投稿していく。 8月には村井と坂田がオランダの小学校教育と現職研修の調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定に応じて研究が進捗していると言える。具体的には、リフレクションを用いた教師教育を「教職実践演習」や「教職論」、「教育原論」などの教職課程の授業で実施できるようワークを開発し、実践した。また、とりわけ「教職実践演習」、「乳幼児と教育学」(専門科目)における授業の成果を検証するために、質的並びに量的な分析を行い、論文にまとめ、学会での発表や投稿、紀要論文の執筆を行っている。研究メンバーが所属する大学に止まらず、他大学や他機関からの要請に応じて、それぞれの教員養成課程、現職研修、高校の授業などでリアリスティックアプローチを用いた授業、研修を行い、一定の評価を得ている。 また、オランダの小学校教育と現職研修の状況を調査し、リフレクションの動向を知ることができた。ただし、当初、研究メンバーがそれぞれ海外におけるリフレクションおよびリアリスティックアプローチの動向を調査する予定であったが、諸事情により全員が海外調査を行うには至っていない。 リフレクションにおける知の生成の原理的探究については、教育的タクトの養成という視点から明らかにする方向で研究を継続している。ハビトゥスや日本における型の研究については次年度に持ち越すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、最終年度にあたるため、リアリスティックアプローチを用いた教師教育の成果を質的データ・量的データとしてさらに明らかにし、学会誌などに投稿していく。また、引き続き、他大学、他機関、教育委員会などと連携しつつ、リアリスティックアプローチを用いた教師教育とその応用を国内に広めていくことを予定している。 研究成果は学会発表に加え、フォーラムや研究発表会などのかたちで報告するほか、冊子、文献などのなんらかの紙媒体にすることで、多くの教師教育者、現職教員(保育者)に活用可能なものとしていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
現象学に関する文献の購入を次年度に回したために平成28年度に関しては物品費が押さえられている。また、研究分担者の出張費についても一部を次年度に回した。
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次年度使用額の使用計画 |
現象学の原理的な研究を行うための文献を購入する。また、研究分担者の海外での調査を行う予定である。
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