研究課題/領域番号 |
15K04266
|
研究機関 | 相愛大学 |
研究代表者 |
長谷川 精一 相愛大学, その他部局等, 教授 (40269824)
|
研究分担者 |
越水 雄二 同志社大学, 社会学部, 准教授 (40293849)
北澤 義之 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (90257767)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 言語教育 / 沖縄 / ブルターニュ / アラブ / 地域語 / 国際語 |
研究実績の概要 |
平成27年度には、まず研究代表者、研究分担者が、これまでの科研費による2回の共同研究(「地域文化の変容からみた近代教育システムの形成に関する比較史的研究」、「言語教育と地域語の関係に関する比較史的研究」)における成果を踏まえ、各自の担当する地域で比較研究の基礎となる調査と考察を進めた。日本に関しては、沖縄語と標準語教育との関係をめぐる考察の結果を踏まえて、沖縄と日本国内の他地域との比較考察を行うために、九州、四国、北陸地方の地域語に関する資料収集を行った。フランスに関しては、北西部のブルターニュ地方では、国民国家形成へ向けた言語政策、特に1880年代以降の公教育を通じたフランス語(国語)の強制により、地域語のブレイス語が抑圧されて20世紀半ばには存続の危機に瀕したことを明らかにした。これに抗して1977年に始まったディワン会Diwanは、ブレイス語の学校を初等から中等段階まで順次設立し、今日その二言語併用教育とイマージョン教育は英語(国際語)教育への応用の点でも注目を集める。こうした現状を、旧フランス植民地のセネガル国内では、近年、「ミニ言語ナショナリズムが林立する」(砂野幸稔)状況と比較して、さらに考察したい。アラブ地域に関しては、地域語と国語教育・アラビア語教育との関係、特にダイグロシア(二言語併用状況)の状況について調査・検討するため、アラブ連盟本部(カイロ)の図書館での文献資料調査、及び、同文化局長をはじめとする局員との議論を通じて、アラブ諸国における全般的言語教育の現状についてアラブの教育関係者の認識を知ることができた。またカイロ大学の言語学専門家との議論によって、アラビア語における知識人言語や若者がネット上で使用するいわば「第三のアラビア語」の存在について重要な知見を得ることができたので、この点についても今後のアラブ諸国の言語教育研究に加えていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度にあたる平成27年度においては、まず研究代表者、研究分担者が、これまでの2回の共同研究での成果をさらに発展させて、日本、フランス、アラブの各地域において、地域語と標準語(国語)教育との関係について調査・検討を進める計画であったが、これは概ね進捗していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の2年めである平成28年度以降には、日本、西洋、第三世界の《三角測量》による視点の相対化という本研究の目的を考慮しつつ、相互に紹介・検討する作業を行い、対象とする各地域の人々が、地域語と国語教育との関係についてどのように考えていたのか、そのような言語教育を受ける側として、あるいは、言語教育を行っていく主体として、どのように行動していったのかについて、それらの人々の人間形成や日常生活の具体的な諸相に即して解明していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
史料収集のための出張を当初予定していた回数、実施し得なかったため、旅費に関して残額が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
当初、平成27年度に旅費として使用を予定していた金額からの残額は平成28年度に旅費として使用する。
|