研究実績の概要 |
本「未刊行資料の解読によるフレーベル保姆養成の思想・制度・カリキュラムとその評価研究」の課題は、1)フレーベルの晩年の教育活動である「保姆養成」の思想・制度・カリキュラムを具体的に現地での調査により明らかにすることと,2)残されている書簡等によるフレーベル主義幼稚園の実践家(保姆・関係者)の実践報告書を手がかりに分析し解明しフレベル主義教育実態を実践家の観点から評価することである。 1)の「保姆養成」の思想・制度・カリキュラムに関しては,現地調査から(1)バート・ブランケンブルク近郊の施設として1.<児童指導者コース>(1839),2.幼稚園の設立及び実施のための計画案に基づく<児童指導者コース>(1840)3.カイルハウ保姆養成(1844-45),4.ルドールシュタット養成施設、5.リ-ベンシュタイン養成施設(2)ドレースデン保姆コース(1848-45),(3)ハンブルク民衆幼稚園(1854)を確認した。 特に,ドレースデン保姆コースは現在も存続し,フレーベルデイプロマを発行し,フレーベル主義保育者養成機関として全ドイツを牽引している。 2)のフレーベル主義幼稚園の実践家による「評価』研究として,フレーベルの教え子による養成施設に対する評価をH.ケーニヒ編著『私の愛するフレーベル』(1990)に集録されている1840年から52年にかけて関係した50人の保母を抽出して調査した。本著は旧東ドイツ国営出版社から"Mein lieber Herr Froebel"の書名で刊行されたもので、わが国では『フレーベル賛歌』の書名で旧東ドイツ崩壊の直前の1991年に翻訳刊行され,論者自身も翻訳に関った。 重要なことは、フレーベルの教育活動の実態を関係する実践家自身による「評価」を論究・解明したしたことである。この種の評価研究は初めての手法である。
|